研究課題
平成28年度は、前年度のIMSによるスフィンゴ脂質測定を受け、MALDI-FTMSあるいはDESI-IMSを用いた高感度化を目指したが、何れも脾臓において必要な検出感度が得られなかった。そこで、IMSの専門家である大阪大学の新間博士に研究協力を依頼したところ、最終的には9-AAのスプレー法を組み合わせることで、最も高感度に検出できることが判った。以上の検討から、今までIMSで検出することが難しいと考えられてきたスフィンゴ脂質の中でも、特にS1Pの脾臓組織分布画像を得ることに成功した。本研究によって得られた成果は、現在論文投稿準備中である。また、一細胞スフィンゴ脂質分析を目指した研究は、nanoLCを用いたが感度向上が認められなかったため、超高速液体クロマトグラフィー (UHPLC) を用いる検討を実施した。その結果、昨年度までの手法と比較し、スフィンゴ脂質は10倍程度の検出感度上昇が認められた。現在、添加回収実験によるバリデーションを実施しており、今後一細胞分析に応用する予定である。一方で、各種ノックアウトマウスによる、LC-MS/MS及びIMSを用いるスフィンゴ脂質測定に関しては、ノックアウトマウスが得ることが困難であったため、既に我々の研究からスフィンゴ脂質関連遺伝子発現量に差があることが判っている、ヒト肝がん組織を用いるスフィンゴ脂質解析を行った。LC-MS/MSを用いる微量がん組織におけるスフィンゴ脂質解析の結果、がん部におけるスフィンゴ脂質の定量値とSPHK1,2あるいはSPLの発現量に相関がみとめられた。現在、がん部と非がん部を含む組織を入手し、IMSによるスフィンゴ脂質分布解析を進めている。
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PLoS One
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Scientific Reports
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