研究課題
本研究の目的は、従来評価法に対して①イオン液体を応用した微細形態観察手法及び②ナノ領域からの蛍光可視化手法を組み込むことで、歯周病などを始めとする難治性のバイオフィルム感染症治療のための高分子粒子キャリアを設計することである。2015年度には、①のイオン液体を応用した微細形態観察手法を確立しており、この手法を用いることで製剤および病原体の形態を捉えることに成功している。さらに、製剤と病原体の相互作用をナノスケールで明らかにし、その情報を高分子ナノ粒子製剤の設計にフィードバックさせている。2016年度は、②のナノ領域からの蛍光可視化手法の確立のため、高分子粒子製剤のラベリングに適した電子線に強い蛍光物質の探索を行い、低波長側に蛍光波長を持つ無機材料の蛍光物質がイメージング・分析に適していることを明らかにしている。また、銀ナノ粒子を複合した高分子製剤の調製法の確立に成功しており、抗菌活性が高いことを確認している。2017年度は、様々な種類の高分子基剤を用いた銀ナノ粒子複合高分子製剤の調製法の確立とイオン液体を封入した高分子製剤の設計を手掛けた。マウスを用いた製剤の評価も実施し、未処理の高分子製剤に比べイオン液体を封入した高分子製剤の組織浸透能が非常に高いことを明らかにしている。2018年度は、2017年度までに確立した製剤設計法を基にして、銀ナノ粒子およびイオン液体を封入し表面修飾をした製剤設計を実施した。さらに、透過型電子顕微鏡にカソードルミネッセンスを組み込んだ手法を用い、銀ナノ粒子由来のカソードルミネッセンス発光を捉えることに成功した。また、銀ナノ粒子のサイズによるスペクトルの違いを明らかにしており、高分子製剤中における銀ナノ粒子の凝集状況の把握が可能となった。これらの評価を踏まえて、それぞれの製剤設計の最適化を行った。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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