研究課題
初年度において、Roquin-2欠損細胞では、LPS刺激時にTLR4受容体下流で誘導されるp38・JNK・NF-κB経路の活性化が、いずれも亢進することを見出していた。Roquin-2はASK1をユビキチン化・分解に導くユビキチンリガーゼであるが、ASK1はTLR4下流ではp38の活性化のみに寄与するため、Roquin-2のユビキチン化標的はASK1以外にも存在することが示唆された。実際に、ASK1が活性化を受けない、TLR2やTLR3のリガンド刺激時にも、Roquin-2欠損細胞では下流シグナル活性化が亢進した。そこで、Roquin-2標的分子を網羅的に探索した結果、TLR4下流のシグナル伝達分子の1つを新たな標的として同定した。Roquin-2はこの新規標的分子と結合し、K48型ポリユビキチン化を促進した。以上の結果より、Roquin-2がASK1および新規標的分子のユビキチン化・分解によって、TLRシグナルを負に制御していることが想定される。一方、TRIM48については、初年度にユビキチン化標的となるASK1活性化抑制因子を同定し、そのユビキチン化・分解によってASK1活性化を正に制御していることを見出だしていた。さらに詳細な解析から、TRIM48がRoquin-2を介してASK1ユビキチン化を促進することが明らかとなったことから、TRIM48はRoquin-2によるASK1ユビキチン化の制御因子としても位置づけることができる。現在、Roquin-2の骨髄由来細胞特異的ノックアウトマウス、およびTRIM48遺伝子導入マウスを作製し、炎症・がん・肝障害等のASK1関連病態・疾患モデルを利用した解析を行なっているところで、今後、疾患発症機序の解明および疾患治療戦略の提案に向けて、具体的な成果を発表していきたい。
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