研究課題
インスリン抵抗性改善を目指したジアシルグリセロール(DG)キナーゼδ(DGKδ)による筋分化促進機構の解明へ向けて,前年度,①C2C12筋芽細胞の筋分化過程において,細胞周期調節因子cyclin D1は分化24時間に顕著に減少し,DGKδの発現はcyclin D1の発現減少より遅れて分化48時間後に減少することを示した.さらに,②DGKδの発現を抑制したときには,分化48時間後の筋形成制御因子myogeninの発現誘導とcyclin D1の発現減少は抑制されることを示した.本年度においても,DGKδの発現を抑制したところ,分化48時間後のmyogeninの発現誘導とcyclin D1の発現減少は抑制されることを示し,昨年度同様の解析結果を得ることが出来た.従って,次にDGKδによる筋分化制御メカニズムを明らかにすることにした.DGKの基質DGはconventional/novel protein kinase C(cnPKC)を活性化し,一方で,代謝物PAはmammalian target of rapamycin(mTOR)を活性化する.そこで,DGKδの発現抑制によるPKC及びmTORシグナルへの影響を評価したところ,分化48時間後のcnPKCの発現量及びリン酸化レベルは有意に増加することがわかった.分化24時間後においてもDGKδの発現抑制により,myogeninの発現誘導は殆ど抑制されないにも関わらず,cyclin D1の発現量とcnPKCのリン酸化レベルは増加することが示された.筋分化過程において,DGKδの発現減少はcyclin D1の発現減少より遅れることから,DGKδは筋分化の誘導のためにPKC活性を減少させ,cyclin D1の発現抑制に関わることが示された.
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