Parthanatosは、心不全、パーキンソン病や脳虚血再灌流障害時におこるプログラム細胞死であり、poly(ADP-ribose) polymerase1 (PARP1) によって産生されたpoly(ADP-ribose) (PAR) が、核から細胞質に移行することが起因となる。本研究では、PARの核から細胞質への移行を制御する因子の特定を目的とした。 Protein kinase阻害薬であるstaurosporineは、Hela細胞においてparthanatosを誘導した。この細胞死は、PARP1阻害薬PJ34またはPARP1shRNAを発現させることによって部分的に抑制され、caspase阻害薬zVAD-fmkで完全に抑制された。これらの結果から、parthanatosはcaspase3の活性化が関与するアポトーシスの下流に存在していることが明らかとなった。 PARP1は、caspase切断部位およびPARによる自己修飾部位を持つ。Staurosporineは、caspase3の活性化を介してPARP1の断片化を引き起こし、24-kDaと89-kDaのPARP1断片を生成した。24-kDa PARP1断片は核局在化部位を保持するため核内に局在にした。一方、89-kDa PARP1断片は、核から細胞質へ移行した。加えて、89-kDa PARP1断片は、PARによる自己修飾部位を持つためPARを付加したまま核から細胞質へ移行した。加えて、細胞質に移行した89-kDa PARP1断片は、PARを介してparthanatosの誘導に必要なapoptosis-inducing factorやhexokinaseと結合した。 以上の結果から、PAR合成酵素であるPARP1自身が断片化されて細胞質へ局在変化することがPARの細胞質への移行を制御し、parthanatosを誘導することが明らかとなった。
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