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2016 年度 実施状況報告書

プロスタグランジンEP4受容体はいかにして脂質の恒常性維持に寄与するのか?

研究課題

研究課題/領域番号 15K18875
研究機関熊本大学

研究代表者

稲住 知明  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (80746503)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードプロスタグランジン受容体 / 脂質代謝
研究実績の概要

プロスタグランジン(PG)は生体膜リン脂質からホスホリパーゼによって切り出されたアラキドン酸から、シクロオキシゲナーゼを律速酵素として産生される代表的な生理活性脂質であり、発熱、疼痛、炎症を代表とする様々な生理作用を示す。本研究では、PG受容体による新規脂質代謝調節機構を明らかにすることを目的として、申請者はこれまでに、PGE2受容体EP4の欠損マウスを用いて、EP4受容体による脂肪蓄積の制御機構を解析してきた。EP4受容体欠損マウスは通常食条件下において白色脂肪組織重量亢進の表現型を示す一方、肝臓への脂肪蓄積は少なく、EP4受容体は生体中の脂質分布を制御していると考えられた。今年度は、脂肪組織におけるPGE2産生機構を解析し、関与するホスホリパーゼ/シクロオキシゲナーゼを同定した。また、PGE2産生が誘導される生理的状況を明らかにした。また、EP4受容体の機能を担う責任細胞を同定するため、骨髄移植実験および細胞特異的EP4欠損マウスの作成を行った。EP4受容体欠損マウスの骨髄を野生型マウスに移植しても、EP4受容体欠損マウスでみられた表現型が再現されなかったことから、マクロファージなどの血球系細胞に発現しているEP4受容体は脂肪蓄積制御には寄与しないと考えられた。今後は、作成した細胞特異的EP4欠損マウスの解析により、責任細胞の同定を進めるとともに、EP4作動薬投与実験を行い、脂質異常症の治療標的としてのEP4受容体の可能性を評価する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、脂肪組織におけるPGE2の産生機構を明らかにするとともに、骨髄移植実験や細胞特異的EP4欠損マウスの作成を行い、EP4受容体機能を担う責任細胞の絞り込みも進捗しているため、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

作成した細胞特異的EP4受容体欠損マウスの解析を進め、EP4受容体機能を担う責任細胞の同定を進める。また、肥満モデルマウスへのEP4作動薬投与を行い、脂質異常症の治療標的としての可能性を評価する。

次年度使用額が生じた理由

平成28年4月の熊本地震により、当初使用予定のマイクロアレイ解析機器(共通機器)が破損した。精密機器であったため、その被害状況の把握や復旧に多大な時間を要し、解析を再開できたのは10月となり、約6ヶ月間の研究遅延を余儀なくされたため。

次年度使用額の使用計画

肥満病態マウスモデル作成用のマウス購入費や特殊飼料費、遺伝子発現解析(マイクロアレイ、定量PCR, in situ hybridization)用試薬類などに予算を使用する。

備考

熊本大学大学院生命科学研究部薬学生化学分野ホームページ
http://http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/seika/index.html

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] An aromatic amino acid within intracellular loop 2 of the prostaglandin EP2 receptor is a prerequisite for selective association and activation of Gαs.2017

    • 著者名/発表者名
      Yano, A., Takahashi, Y., Moriguchi, H., Inazumi, T., Koga, T., Otaka, A., Sugimoto, Y.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta. Mol. Cell Biol. Lipids.

      巻: 1862(6) ページ: 615-622

    • DOI

      10.1016/j.bbalip.2017.03.006.

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂質代謝におけるプロスタグランジンEP4受容体の生理機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      稲住知明、山田清隆、土屋創健、成宮周、杉本幸彦
    • 学会等名
      第90回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-17
  • [学会発表] プロスタグランジンEP4受容体を介した脂質代謝調節機構2016

    • 著者名/発表者名
      山田 清隆、稲住 知明、土屋 創健、杉本 幸彦
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-27
  • [学会発表] Roles of prostaglandin EP4 receptor in adipose tissue.2016

    • 著者名/発表者名
      Sugimoto, Y., Inazumi, T., Tsuchiya, S., Narumiya, S.
    • 学会等名
      The 7th International conference on phospholipase A2 and Lipid Mediators(PLM2016)
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-20
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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