本研究は、コレステロールが高値となる脂質代謝異常症の治療薬スタチンによる、筋細胞障害を伴う副作用の発症機構の解明と抑制法の確立を目的としている。これまでに培養細胞を用いた実験で、スタチンは細胞種依存的な機構でオートファジーを誘導し、細胞死を起こすことを見出した。そこで、スタチン依存的なオートファジー誘導を抑制する化合物を探索することで、副作用の抑制法の確立を目指した。本研究期間においては有力な化合物の同定に至らなかったが、その過程でスタチン依存的なオートファジー誘導機構に低分子量Gタンパク質の関与を示唆する結果を得た。今後、さらなる分子機構の解明により副作用抑制法への応用が期待される。
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