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本研究は，神経発達症（特に自閉スペクトラム症）の発症メカニズムを解明し，その治療および予防方法の確立を目的としている。自閉スペクトラム症（ＡＳＤ）において小胞体ストレスが誘引されている状態であることが判明した。さらに，ASDでは，シナプス形成に関与するニューロリジン，ニューレキシン，Ｓｈａｎｋ，ＣＡＤＭなどのタンパク質発現に異常が認められている。そこで，ケミカルシャペロンである４－フェニル酪酸を妊娠期の母親マウスに用いることで，仔マウスの小胞体ストレスを軽減させるとともに，ASD関連タンパク質の発現異常を回復させることが明らかとなった。この成果は，ASDの予防においてこれまでにない新規の知見であり，ASDの治療を検討する上で非常に重要な要因となりうる結果である。今後は，小胞体ストレス軽減によるASD発症抑制および症状改善効果について，詳細な検討を実施するとともに，ASD治療における創薬シーズ探索にも尽力したい。
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