研究課題/領域番号 |
15K18882
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坪田 真帆 近畿大学, 薬学部, 助教 (90510123)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 結腸過感受性 / T型カルシウムチャネル |
研究実績の概要 |
本年度は、butyrate誘起過敏性症候群モデルマウスにおけるいたみの特徴および発現メカニズムについて検討を行った。 過敏性腸症候群の患者では結腸の伸展刺激に対する感受性亢進しているため、便による腸壁刺激によって腹痛が生じやすくなっている。我々は、マウスに結腸内投与を行う場合、通常、投与volumeを50 μlとしているが、butyrateを反復結腸内投与したマウスの結腸に伸展刺激を与えるため、200 μLの水を結腸内投与し、反応を観察した。その結果、水 200 μlで腸伸展刺激を与えると、butyrate処置マウスでは、結腸痛様行動が認められた。そこで、butyrate処置による結腸過感受性に対するT型カルシウムチャネル阻害薬の効果を検討したところ、TTA-A2あるいは6-prenylnaringeninの腹腔内前投与はいずれも、butyrate処置マウスで認められる水200μl結腸内投与による結腸痛様行動を完全に抑制した。 以上より、T型カルシウムチャネル阻害薬は、butyrateにより誘起される結腸過感受性を抑制することが明らかとなり、過敏性腸症候群患者に頻発する腹痛や腸知覚過敏を緩和する新たな治療薬となりうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにbutyrate誘起過敏性腸症候群モデルマウスの作製に成功し、本モデルにおける結腸痛および結腸過感受性にT型カルシウムチャネルが関与することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータをまとめて論文投稿を行う。また、T型カルシウムチャネル3つのアイソフォームのうち痛みの関係が深いCav3.2のノックアウトマウスを現在繁殖中であり、今後、本マウスを用いた実験を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の9月から3月末までは実験協力者の学生が実習で不在であったため実験を進められず、少し残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
追加実験に必要な動物、試薬、器具を購入予定である。
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