研究課題
細胞外ヌクレオチドにより活性化されるプリン作動性Gタンパク質共役型受容体の1種であるP2Y6Rが、虚血や高血圧などの外的負荷によりもたらされる心血管系組織の病的な構造改変(リモデリング)に与える影響を検討した。平成27年度には血管リモデリングにおけるP2Y6Rの役割について検討を行い、昇圧ペプチドであるアンジオテンシンII(Ang II)受容体(AT1R)とP2Y6Rが複合体を形成し、Ang IIによる血管肥大応答を正に制御することを見出した。また、P2Y6Rは加齢とともに発現増加し、AT1R-P2Y6R複合体の増加が加齢性高血圧症に関与することが示唆された。平成28年度は交感神経刺激による心機能変化に対するP2Y6R欠損マウスの影響について検討を行った。P2Y6R欠損マウスは野生型マウスと比較してイソプロテレノール慢性投与により心肥大が亢進し、心機能が著しく低下することが明らかとなった。アデノ随伴ウイルスを用いて心筋細胞特異的にP2Y6Rを発現させることでイソプロテレノール刺激による心機能低下が抑制されたことから、心臓由来のP2Y6Rが交感神経刺激依存的な心臓リモデリングに関与していることが明らかとなった。また、P2Y6RはヌクレオチドUDPにより活性化されることが知られているが、柔らかい基質の上で細胞を培養するとUDPに対する応答性が減弱する一方で、ヌクレオチドリガンド非依存的にカルシウムオシレーションを引き起こすことが明らかとなった。この細胞外基質環境によるP2Y6Rの機能変化には細胞外領域に存在するRGDモチーフが関与していることが明らかとなった。
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