研究課題/領域番号 |
15K18894
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
安元 加奈未 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70412393)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リーシュマニア症 / 熱帯植物 / ミャンマー / 構造決定 / 抗リーシュマニア活性 |
研究実績の概要 |
本研究は、熱帯領域であるミャンマーに生育する植物から、さらなる抗リーシュマニア活性を有する化学成分を探索することを目的として行うものである。本研究計画では活性化合物の探索方法として、これまでに行ってきたリーシュマニア原虫を用いた改良MTT法によるスクリーニングに加えて、宿主細胞モデルに対する細胞傷害性の検討を行い、リーシュマニア原虫に対する選択性も併せて検討することとした。また、新たな薬理活性の指標としてルシフェラーゼ発光ならびに蛍光プローブによるミトコンドリア膜電位差を検討し、アポトーシス誘導能について評価する。29年度は、これまでに行ったミャンマー産植物メタノールエキスに対する一次スクリーニングの結果から、コショウ科およびヤマモモ科植物の2種を選定し、これらのメタノールエキスについて各種クロマトグラフィー等の化学的分離手法を用いて抗リーシュマニア活性成分の探索を行った。その結果、計24種の化合物を単離した。これらについて、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量分析等の機器分析により、それぞれの化学構造を決定した。また、新規スクリーニングの一つとして、蛍光プローブによるリーシュマニア原虫のミトコンドリア膜電位差を検討するために、既知の活性化合物を含む植物エキスを用いて予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画において、途中に産休・育休を挟み実施期間を延長したが、これまでに選定した植物エキスの化学成分の分離精製および構造決定が、一部分離困難なフラクションを除き、ほぼ終了した。また最終年度に向けて、既知の抗リーシュマニア活性物質(キノン系化合物群)を含む植物エキスを用いて、ミトコンドリア膜電位差を検討する予備実験を行った。以上のことから、計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度に得られた化合物について、まず現行の改良MTT法による抗リーシュマニア活性試験を行い、評価する。また分離が困難であったフラクションについては活性試験と併せて、HPLCカラムと測定条件を検討し化合物単離を行うこととする。また、宿主細胞モデルとしてマウスマクロファージ様細胞RAW264.7について細胞傷害性試験を行い、リーシュマニア原虫に対する選択性を検討する。また、活性物質共存下でのリーシュマニア原虫のミトコンドリア膜電位差を測定し、原虫に対する影響を検討する。あわせてルシフェラーゼ発光を用いた原虫のアポトーシス誘導能も検討する。研究計画のまとめとして、明らかにした構造と、これらの活性の相関性について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 29年度は、植物エキスから活性化合物の分離精製に重点を置き、生理活性試験に使用する試薬類の購入が少なかったため。 (使用計画) 細胞傷害性アッセイおよびミトコンドリア膜電位差の検討実験、ルシフェラーゼによるアポトーシス誘導能実験の試薬購入に使用する。また、分離困難であったフラクションについては新たな官能基を有する分析および分取用HPLCカラムを導入し、化合物の単離精製を試みる。
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