本研究は、熱帯領域であるミャンマーに生育する植物から、さらなる抗リーシュマニア活性を有する化学成分を探索することを目的として行うものである。本計画では、明確な治療薬が未だに無い皮膚型リーシュマニア原虫を用い、(1)ミャンマー産植物エキスから抗リーシュマニア活性物質を探索する、(2)これまでに行ってきた改良MTT法によるスクリーニング、宿主細胞モデルに対する細胞傷害性の検討に加えて、薬理作用評価系としてアポトーシス誘導能に着目し、蛍光プローブJC-1によるミトコンドリア膜電位差やルシフェラーゼ発光によるATPの定量を検討する、という研究に着手した。 一次スクリーニングで抗リーシュマニア活性の見られたミャンマー産薬用植物(コショウ科およびヤマモモ科植物)メタノール抽出物について各種クロマトグラフィー等の化学的分離手法を用いて抗リーシュマニア活性成分の探索を行った。その結果、計39種の化合物を単離した。これらについて、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量分析等の機器分析により、それぞれの化学構造を決定し、リーシュマニア原虫に対する影響を検討した。また、新規スクリーニングとして、蛍光プローブJC-1によるリーシュマニア原虫のミトコンドリア膜電位差をL. majorについて検討するために、既知の活性化合物を含む植物エキス5種を用いて実験を行い、最適な原虫濃度、蛍光強度による添加試薬量の調整、ポジティブコントロールの設定を行った。
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