研究実績の概要 |
1, 平成29年度も伝承で効果のある天然薬物や機能性食品、食経験のある野草いわゆる山菜などの植物サンプルを継続して、その採取できる季節に応じ、さらに採取できるフィールドでの採集を行った。同じ山菜でも栽培物とフィールドから採取したものは、成分等が大きく異なる事も多いので、継続してのフィールドからのサンプル採集は非常に重要であり、価値のあるものである。今年度は海岸端の植生に注目し、ハマボウフウ、ツルナを採集できた。 2,前年度から継続して植物サンプルからの成分の分離精製、構造決定を行い、多数のフラボノイド配糖体の分離精製に成功した。 3,葛花に含まれる主成分のひとつであるkaikasaponin IIIに関して、人糞便による代謝実験を行い、代謝速度の解明や、最終代謝物の分離、生成、 構造決定まで成功した。その結果、kaikasaponin IIIの代謝速度は比較的遅く、また最終代謝物は、そのアグリコンであるSopharadiolの部分還元されたものが得られた。また、桑から、単離生成したフラボノイド配糖体に関してもヒト由来腸内細菌株を用いた代謝実験を行い、アグリコンに付加している糖の数、種類、位置による代謝の変化について解明することができ、負荷している糖により代謝が大きく影響をうけることが判明した。 4,得られた化合物、それらの腸内細菌による代謝物について、肝保護活性の測定を行った結果、代謝により活性があがることが判明した。
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