研究実績の概要 |
申請者は、アルツハイマー病根本治療薬の開発を最終目標として、新規低分子βセクレターゼ(BACE1)阻害剤の開発に着手した。本年度は、昨年度から引き続き(1) アミジノピロリジン型BACE1阻害剤の開発研究と、(2) アミジノピペリジン型BACE1阻害剤の開発研究を行った。 (1) アミジノピロリジン型BACE1阻害剤の開発では、昨年度の検討から、(a) R1、R2がtrans-配置であること、(b) R1、R2がかさ高いこと、が活性発現に重要であることが示唆されたことから、これらの知見に基づき更なる構造活性相関研究を行った。具体的には、R1 = 2-ビフェニル、3-ビフェニル、1-ナフチル、3-ブロモフェニル、R2 = 2-ナフチルメチル、3-ビフェニルメチルに関して、これらを組み合わせた誘導体を、昨年度確立した合成法を利用して合成した。現在、得られた誘導体のBACE1阻害活性評価を進めている段階であり、活性評価の結果に基づき、更なる構造最適化を行う予定である。 (2) アミジノピペリジン型BACE1阻害剤の開発では、昨年度の検討において、ピロリジン型と同様にかさ高い置換基が活性発現に有効であることが示唆されていたが、得られた誘導体では十分なBACE1阻害能を有する化合物は見出せていなかった。本年度は、2つの置換基がtrans-配置の構造に合成目標を変更し、昨年度確立した2,6-trans-二置換ピペリジン骨格の構築法を利用することでいくつかの誘導体の合成を行った。現在、得られた誘導体のBACE1阻害活性評価を進めている段階であり、並行してより簡便に合成可能な2,6-cis-二置換ピペリジン骨格合成を応用した誘導体合成法の検討を行っている。
|