研究課題/領域番号 |
15K18908
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
光本 明日香 (貝崎明日香) 昭和大学, 薬学部, 助教 (70407443)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / 依存性 / 吸入曝露 / alpha-PVP / UR-144 |
研究実績の概要 |
申請書の「研究目的」の②に示したように、実験動物に対し、吸入曝露試験を実施し、肺から吸収された場合の毒作用発現を明らかにするために、危険ドラッグの小動物吸入暴露装置を開発した。 吸入曝露による作用評価の有用性を検討するため、UR-144の腹腔内投与と吸入曝露による作用を比較した。体温低下、カタレプシー、自発運動量について検討した結果、投与経路により作用発現時間や作用持続時間、作用強度が異なることが明らかとなり、乱用実態に即した検討の重要性が示された。一方で、吸入曝露は作用発現、作用消失が速いため、より詳細に作用を明らかにするためには、吸入曝露チャンバー内における動物の行動変化や体温変化も評価できるシステムが必要だという問題も明らかになった。(実験者の被曝を防ぐため、曝露チャンバー内へ動物を入れ、危険ドラッグ燃焼煙を導入し、動物に吸入させた後、チャンバー内の換気を行い、動物を出し、作用評価を行っていたが、平成28年度は新たな評価システムを用いて検討することにした。) 申請書の「研究目的」の②に示したように、合成カンナビノイドおよび合成カチノンを併用した場合、単独投与に比べて精神依存性が変化するか検討するため、CPP(条件付け場所嗜好性)法を用いて、alpha-PVPとUR-144の依存性評価を行った。低用量のalpha-PVP単独処置は、報酬効果を示さず、嗜好性の獲得は認められなかったが、高用量処置では嗜好性の獲得が認められた。また、本研究で用いた用量範囲のUR-144単独処置は、報酬効果を示さなかった。しかし、報酬効果を示さない低用量のalpha-PVPおよびUR-144の併用処置では、嗜好性の獲得が認められた。これらのことから、合成カチノンと合成カンナビノイドの併用により依存性が増強されると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
煙発生装置は、本研究室の研究生が勤務している日本タバコ産業株式会社において、タバコの喫煙実験に使用しているものを借用する予定であった。 しかし、当研究室で作製した「模擬危険ドラッグ製品(危険ドラッグ成分を含有したハーブ)」の燃焼煙をマウスに曝露するにあたり、曝露チャンバー内の危険ドラッグ成分の濃度を測定する必要があると考え、そのためには煙採取口のある曝露ケージを作製する必要があった。また、模擬危険ドラッグ製品を安定して燃焼させるためには、タバコの燃焼とは異なる形状の燃焼部を作製する必要があった。 以上の理由から、タバコの喫煙実験に使用しているものとは異なる煙発生装置および曝露チャンバーを作製するところから開始した。
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今後の研究の推進方策 |
吸入曝露による作用をより詳細に検討するため、体内埋め込み式の運動量測定装置を用いて、運動量と体温の測定を行う。 合成カチノンと合成カンナビノイドの併用により、依存性が増加するメカニズムを明らかにするために、申請書の方法に記載したように、マイクロダイアリシスによる脳内情報伝達物質の測定や、脳組織の免疫組織染色を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に納品された物品(約10万円)の支払い処理が、まだ終わっていないため、次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
3月に納品された物品の支払い処理は、5月には終了する予定です。
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