研究実績の概要 |
「ハーブ」等に代表される危険ドラッグ製品の主な摂取方法である吸入による生体への作用を明らかにするため、危険ドラッグの小動物吸入曝露装置を開発した。この装置を用いて、「ハーブ」製品の主な成分である合成カンナビノイドの作用について検討した。 UR-144[(1-pentyl-1H-indol-3-yl)(2,2,3,3-tetramethylcyclopropyl)methanone]など、ある種の化合物は吸入時の加熱により、熱分解物を生成すること、また、燃焼煙に含まれる成分は親化合物より熱分解物を多く含むことを明らかにした。UR-144等の一部の合成カンナビノイドは吸入曝露後、初期(5分以内程度)に興奮作用を示すことを明らかにした。(体内埋込式の計測チップを用い、吸入曝露後、初期の運動量や体温変化を測定した。) また、親化合物、熱分解物の腹腔内投与と吸入曝露による作用比較を行い、この興奮作用は熱分解物によるものであることを明らかにした。さらに、この興奮作用の発現メカニズムを明らかにするため、CB1受容体阻害剤、ドパミン受容体阻害剤を用いた検討、マイクロダイアリシス法を用いて側坐核および線条体の脳内ドパミン量の変化について検討を行った。 当研究室の調査では約半数の危険ドラッグ製品は、合成カンナビノイド、合成カチノンなどの成分が複数含まれていたことから、合成カンナビノイド、合成カチノンの各々の依存性および、併用時の依存性について検討を行った。合成カチノンであるalpha-PVPは、メタンフェタミン等と同様に、側坐核のドパミン量を増加させ、CREBのリン酸化を引き起こすことにより、依存性を生じることを明らかにした。
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