アレルギー性疾患には酸化ストレスの関与が示唆されいる。また、疫学研究からアトピー性皮膚炎の発症と体内セレン量の低下に関連性があることが報告されている。セレンは酸化ストレス防御系において重要な役割を担っており、セレンによるストレス制御がアレルギー性疾患の発症に関与している可能性が考えられる。そこで、本研究では、食品中に多く含まれるセレン化合物の一つであるセレノメチオニンを用い、セレンとアレルギー性疾患の関連性について検討を行った。平成29年度は、セレン欠乏状態を含めた各種セレン状態と即時型および慢性皮膚アレルギー反応の関連性について解析を行った。その結果、即時型および慢性アレルギー反応のいずれにおいてもセレン欠乏レベルに応じてアレルギー反応の増悪化が認められること、セレノメチオニン投与によりアレルギー反応が改善されることを明らかにした。また、マクロファージ細胞株RAW264.7および肥満細胞株RBL-2H3を用いた検討から、セレノメチオニンによる炎症反応の抑制にはMAPキナーゼの経路が関与していることが示唆された。
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