本年度は、申請者がこれまで検討を進めている、非ステロイド性消炎鎮痛薬であるインドメタシンを0.25%含有した水溶液(インドメタシンスプレー)を用い、実際にがん患者に適応し、その有効性および安全性について評価を行った。 具体的には、がん治療(放射線療法、化学療法)により誘発された難治性の口腔粘膜炎を呈したがん患者28名を対象とし、インドメタシンスプレーを適応した。すなわち、本製剤を、がん患者の口腔粘膜炎の局所に噴霧し、鎮痛効果について評価するとともに、7名の患者を対象とし、インドメタシンスプレー使用後のインドメタシンの吸収について評価した。結果として、がん患者の93%(26/28名)で鎮痛効果が認められること、さらに、6段階のFace Scaleを用いたインドメタシンスプレー使用前後の鎮痛スケールは3.6 ± 0.7から 2.4 ± 0.9(p< 0.01)に有意な低下が認められることを報告した。さらに7名の患者におけるインドメタシンの吸収量は、投与量に対する1.8%であり、これはインドメタシンの湿布剤、貼付剤と同程度であることを明らかにした。 以上、本年度は、口腔粘膜炎に対する治療戦略の一つにインドメタシンスプレーを位置づけ、さらにこのスプレーの有効性と安全性について評価を行った。本研究により、インドメタシンスプレーは比較的安全に、かつ有効な治療戦略の一つであることを示すこともできたと考える。
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