研究課題
オキサリプラチンは大腸がん治療において頻用されるが、副作用である末梢神経障害は患者のQuolity of Lifeを低下させる。特に慢性症状である蓄積性の末梢神経障害は、薬剤中止後も長期間にわたり継続するため問題視されている。オキサリプラチンの蓄積性の末梢神経障害は、後根神経節細胞(DRG)にオキサリプラチンが蓄積し、細胞の代謝や軸索原形輸送が障害されることにより生じる。また近年、DRGへのオキサリプラチンの取り込みには、有機カチオントランスポーター(OCT)が関与することが報告された。そこで本研究では、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬デュロキセチンなどを、オキサリプラチンと併用することで、OCTを介したオキサリプラチンのDRGへの取り込みを防ぎ、蓄積性の末梢神経障害の発症を予防することを目的とする。平成27年度はHEK293細胞を用いたin vitro実験において、OCTを介したオキサリプラチンの取り込みをデュロキセチンが阻害するかどうか、細胞毒性の指標である培養液中の乳酸脱水素酵素(LDH)を定量することにより調べた。細胞内に取り込まれたオキサリプラチンは細胞毒性を示し細胞膜を障害する結果、LDHが細胞外へ放出される。条件検討の段階ではあるが、オキサリプラチンとデュロキセチンを併用することによって、OCTを一過性に発現させたHEK293細胞の培養液中のLDH量が減少する傾向が確認された。
2: おおむね順調に進展している
オキサリプラチンによる取り込みをデュロキセチンが抑制することを示唆する結果が得られたため。
デュロキセチンを併用することによって、OCTを発現させたHEK293細胞における白金蓄積量が減少するかどうかを確認するため、細胞内の白金量を定量する。定量は外注業者へ依頼する。また、デュロキセチンを併用することで、オキサリプラチンの蓄積性の末梢神経障害が予防できるかどうかを明らかにするため、オキサリプラチンとデュロキセチンを併用投与したラットにおいてvon Frey testを行い、機械的アロディニアを評価する。
外注業者に依頼予定である、細胞内の蓄積白金量の定量がまだのため。
外注業者に依頼し、白金の定量を行う。
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