研究課題/領域番号 |
15K18926
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
鈴木 陽介 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737191)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CYP3A / 慢性腎不全 / 腎移植 / 代謝 / 薬物動態 |
研究実績の概要 |
本研究では、腎不全時のCYP3A活性の低下に関与する要因を解明し、慢性腎不全患者の遺伝的・生理的背景から、CYP3A活性の定量的な予測を実現させることを目指している。平成27年度の研究実績は以下のとおりである。
1.腎移植後のCYP3A活性の推移とCYP3A5遺伝子多型の関連性の検討:CYP3A活性の指標として4β-hydroxycholesterolを用いることにより、末期腎不全患者における腎移植後のCYP3A活性は、移植前と比較して有意に上昇していることを明らかにした。また、CYP3A5*1アレルを保有する患者は非保有患者と比較して、腎移植後のCYP3A活性が有意に高いことを明らかにし、CYP3A5遺伝子多型が腎移植後のCYP3A活性の推移の予測因子になることを示した。
2.腎移植後のCYP3A活性の推移と尿毒性物質3-indoxyl sulfateの関連性の検討:末期腎不全患者における腎移植後の血漿中3-indoxyl sulfate濃度は、移植前と比較して有意に低下するものの、その度合いには大きな個人差が存在することを明らかにした。また、血漿中3-indoxyl sulfate濃度が腎移植後も高い場合、腎移植後のCYP3A活性の上昇の程度が小さいことを明らかにし、3-indoxyl sulfateの蓄積が腎移植後のCYP3A活性に影響を及ぼす可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎移植後のCYP3A活性の推移の予測因子として、CYP3A5遺伝子多型と血漿中3-indoxyl sulfate濃度を見出すことに成功しており、当初の目標をおおむね達成していると考え、上記の区分の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、上記の項目1、2の継続分に加え、3.慢性腎不全患者におけるCYP3A活性の予測式の構築 についても、研究を行っていく。慢性腎不全患者を対象に、血漿中の4β-hydroxycholesterol、3-indoxyl sulfate、副甲状腺ホルモンおよび各種サイトカイン濃度を測定し、CYP3A5遺伝子多型を評価する。重回帰分析を行い、血漿中4β-hydroxycholesterol濃度の予測式を構築し、慢性腎不全患者の遺伝的・生理的背景からのCYP3A活性の定量的な予測を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
副甲状腺ホルモンと各種サイトカインの測定が当初の予定よりやや遅れており、購入した消耗物品が当初の予定より少なくなり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ELISAキットなどの消耗物品の購入費として使用する計画である。
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