研究課題
本研究では、腎不全時のCYP3A活性の低下に関与する要因を解明し、慢性腎不全患者の遺伝的・生理的背景から、CYP3A活性の定量的な予測を実現させることを目指している。平成28年度の研究実績は以下のとおりである。1.安定期腎移植患者におけるCYP3A活性と各種サイトカイン濃度の関連性の検討:安定期腎移植患者を対象に、CYP3A活性とInterleukin-6(IL-6)およびTumor Necrosis Factor‐α(TNF‐α)を測定し、相関性を評価した。その結果、CYP3A活性とIL-6およびTNF‐αの間に有意な相関は認められなかった。慢性腎不全時のCYP3A活性の低下におよぼすサイトカインの影響は少ないことを明らかにした。2.安定期腎移植患者におけるCYP3AのPhenoconversionの頻度とその要因探索:遺伝的に高い代謝能を有する患者において、遺伝的に低代謝能の患者と同程度まで代謝能が一過性に低下する現象(Phenoconversion)に着目し、安定期腎移植患者におけるCYP3AのPhenoconversionの頻度を調査し、その要因を探索した。その結果、安定期腎移植患者におけるCYP3AのPhenoconversionの頻度は約40%であり、尿毒症物質である3-indoxyl sulfateの蓄積がCYP3AのPhenoconversionに関与している可能性を示した。
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