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2015 年度 実施状況報告書

新規作用機序を有する肺がん幹細胞選択的リポソーム製剤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K18927
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

小野寺 理沙子  岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60720399)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード肺がん / 経肺投与製剤 / リポソーム / オートファジー
研究実績の概要

本研究の目的は、新規作用機序を有する肺がん幹細胞選択的抗がん剤を構築することである。近年がん細胞の転移や再発に、抗がん剤や放射線療法後に残存したがん幹細胞の関与が明らかとなってきており、がん幹細胞をターゲットとした研究が多く行われている。さらに、アポトーシス以外の細胞死であるオートファジーは、腫瘍細胞の発生・進展との関与が徐々に明らかとなってきており、抗がん剤の新規ターゲットとして注目されている。
本申請課題では、肺がん幹細胞のリガンドを修飾したリポソームにオートファジー誘導剤を封入し、経肺投与可能な抗がん剤を開発する。本年度は、まず、リポソーム自身の物性が吸入特性に与える影響を検討し、経肺投与製剤として最適なリポソーム組成を検討した。相転移温度の異なる種々の脂質を用いてリポソームを調製し、ネブライザー噴霧後のリポソームの粒子径を指標に吸入特性に与える検討した結果、脂質組成が吸入特性に与える影響は確認されなかった。一方、調製したリポソームの平均粒子径が増大するにつれ、肺内到達量は減少し、ネブライザー内に残存するリポソーム量が増大した。このことから、平均粒子径 100 nm 程度のリポソームが最も経肺投与製剤として適していることが示された。次に、モデル薬物封入リポソームのネブライザー噴霧時および噴霧後の安定性を評価した。その結果、粒子径が 400~600 nm 以上のリポソームではネブライザー噴霧後に薬物漏出が認められたが、平均粒子径を 100 nm に調整したリポソームでは薬物の漏出が抑制された。さらに、平均粒子径を 100 nm 程度に制御することで、内封薬物量を増加させた場合においても、漏出は抑制されることが示された。
今後、実際のオートファジー誘導剤を用いて薬物封入葉酸修飾リポソームを調製し、その吸入特性ならびに抗腫瘍活性を検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

吸入特性評価装置としてアンダーセンカスケードインパクター、エアロダイナミックパーティクルサイザー、レーザー回折式粒度分布測定装置等のいくつかの機器を用いてリポソーム自身の組成が吸入特性に与える影響を検討した。その結果、予想以上に測定に時間を要したため、実製剤封入リポソームを用いた検討ができていない。次年度は、実製剤封入リポソームを調製し、吸入特性ならびに抗腫瘍活性評価を行いたい。

今後の研究の推進方策

本年度の結果を踏まえ、平均粒子径を 100 nm 程度に制御した肺がん幹細胞標的リガンド修飾リポソームを調製し、その吸入特性ならびに噴霧安定性を評価する。さらに、実際のオートファジー誘導剤を封入し、薬物の封入率、抗腫瘍活性評価を行う予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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