本研究の目的は、新規作用機序を有する肺がん幹細胞選択的抗がん剤を構築することである。薬物キャリアであるリポソームに、肺がん幹細胞リガンドである葉酸を修飾した葉酸修飾リポソームを調製し、肺がん幹細胞選択的薬物キャリアを構築することである。種々の検討結果より、葉酸修飾リポソームは、葉酸レセプターを介して細胞内に取り込まれた後、オートファジー誘導剤であるラパマイシンの抗腫瘍効果を増強させることが示唆された。さらに、ラットへ経肺投与後、優れた肺内滞留性を有することが明らかとなった。以上の結果より、葉酸修飾リポソームは、肺がん幹細胞選択的経肺投与製剤キャリアとして優れた性質を有することが示唆された。
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