研究課題
小児急性リンパ性白血病患者289例の維持療法における6-メルカプトプリンの投与量、毒性発現状況に関わる臨床情報を収集した。マイクロアレイ法によって得られた患者DNA情報と6-メルカプトプリンの投与量と副作用の関連性をゲノムワイド関連解析の手法により、解析を行った。P<1xE-5の関連性が得られた7遺伝子が見つかった。この遺伝子の中にはこれまでにアジア人で6-メルカプトプリンの感受性と関連性の高いNUDT15遺伝子も含まれていた。しかし、毒性と関連性が高い遺伝子は発見できていない。NUDT15遺伝子多型には4つの遺伝子多型があることから、細胞内の2本鎖DNAのハプロタイプごとにNUDT15の機能がどの程度変化し、6-メルカプトプリンの代謝物濃度がどのように変化するかについて検討することを予定している。現在、NUDT15の変異をベクターへ導入し、NUDT15活性を測定することによって機能解析を行う実験系を構築できている。NUDT15活性測定を細胞実験においても行えるようにしていく予定としている。また、小児急性リンパ性白血病患者のL-アスパラギナーゼによるアレルギーについて、527例の臨床情報をもとにゲノムワイド関連解析を行った。しかし、統計的に有意な遺伝子は発見されなかった。そのため、欧米より報告されているNFATC2について関連性を検討したところ、ホモ変異ではアレルギー頻度が高くなるものの、統計的に有意な結果は得られなかった。
3: やや遅れている
小児急性リンパ性白血病の維持療法を受けた患者の収集が予定よりも遅れているため。
ゲノムワイド関連解析で得られた結果をもとに、Replication研究を行っていく。また、統計的に有意な関連性のある遺伝子が得られていない解析について、解析から除外すべき患者の背景を確認し、再度、ゲノムワイド関連解析を行った上で、Replicationを行っていく。さらに関連性が得られた遺伝子については、細胞実験でその機能解析を行う。
患者臨床情報の収集が遅れており、ゲノムワイド関連解析によって薬剤の毒性や投与量と関連する遺伝子を明らかにする事が遅れた。そのため、Replicationで使用する試薬の購入が遅れた。
平成29年度の前期にReplicationを予定しており、必要な試薬を購入し、解析する予定である。
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Pharmacogenomics Journal
巻: 18 ページ: 275-280
10.1038/tpj.2017.12