研究課題
マーモセットの肝薬物代謝特性を明らかにする目的で、ヒトおよびマーモセット肝チトクロムP450(以下P450)を介したオメプラゾールの立体選択的酸化反応を比較した。肝ミクロゾームによるオメプラゾール5-水酸化反応はヒトにおいてR体選択的であったが、マーモセットではS体選択的であった。組換えマーモセットP450 2C19はS-オメプラゾール5-水酸化反応を効率よく触媒した。また組換えP450 3A酵素は、ヒトおよびマーモセットにおいてオメプラゾールスルホキシド化および5-水酸化反応を触媒した。さらにマーモセット肝のR-およびS-オメプラゾール5-水酸化活性はP450 2C19の遺伝子多型による違いが認められた。以上、マーモセット肝によるオメプラゾール酸化的代謝は、ヒトの場合と同様にP450 2C遺伝的多型の影響により個体差が認められた。一方、医薬品開発の非臨床試験では、薬物相互作用の観点から医薬候補品によるP450の酵素誘導が評価される。肝P450誘導能はげっ歯類とヒトの間で大きな種差があるため、霊長類の活用が推奨される。本研究では、カニクイザルおよびマーモセット凍結肝細胞を用いて薬物暴露によるP450 mRNAの発現変動を調べた。カニクイザルおよびマーモセット肝細胞でヒトの場合と同様に、オメプラゾール処理によるP450 1A mRNAの誘導およびリファンピシン処理によるP450 3Aおよび2C mRNAの誘導が認められた。一方、ヒト肝細胞で認められるフェノバルビタール処理によるP450 2B mRNAの誘導はカニクイザルおよびマーモセット肝細胞で認められなかった。以上、カニクイザルおよびマーモセット肝細胞のP450誘導能は一部の分子種を除き、総じてヒト肝細胞と類似した特徴を持つことが明らかになった。
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Xenobiotica
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