研究課題/領域番号 |
15K18956
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小川 典子 島根大学, 医学部, 助教 (90598111)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発生 / 形態形成 / ACTH |
研究実績の概要 |
ヒトの発生において胎生第8週末までに殆どの主要な器官の概形が形成され(器官形成期)、第9週以降から生後しばらくまで、臓器特異的な細胞分化と構築化による組織形成が続く。この組織形成には個体差が存在する。臓器の組織形成を促進することができれば臓器の予備能を高め、生活習慣病などの疾病発症を予防できると考え、ストレス応答や免疫・代謝・循環調節など多岐にわたり生体に影響するACTHの組織形成及び、成長後の疾患発症への影響を検討している。 研究を開始した今年度は、胎生14日にJcl/ICRマウス母獣を開腹し、胎仔の背側皮下に下垂体ACTH産生腫瘍細胞株AtT20をガラスピペットを用いて注入、閉腹後発生を継続させ胎生18日に胎仔を得た。胎生18日の胎仔皮下にAtT20細胞株が結節を形成して生着していることをACTH免疫染色にて確認した。挿入群のACTH血中濃度はControl群の50倍以上と高値であった。両群の組織形成の差については現在検討中である。 組織形成期にACTH濃度が過剰であったマウスの、成長後の疾患発症を調べるため、出生群における検討を開始している。胎生18日のAtT20挿入群とControl群の間に体重差は殆どないが、出生7日後にはAtT20挿入群の仔マウスは体重がControl群と比べ1/2と少なくその後の生存は困難であった。現在AtT20細胞株の挿入時期を胎生14日から数日後にずらして、出生後の長期生存が可能になるよう検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎生期にAtT20細胞を注入して胎仔皮下に生着させ、無事に出産させるという手技を確立できた。胎生18日のマウスの臓器が得られ、3週齢マウスについてはAtT20細胞株の挿入時期をずらして検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の遂行に当たり一番の手技的要件であるAtT20細胞株の胎仔皮下への生着と、注入後無事に胎仔を出生させることに成功した。今後はAtT20細胞株の注入時期をずらすことで、出生後長期の生存を目指し、予定通り成長後の疾病発症について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを購入してAtT20細胞株の注入は予定通り行ったが、予定していた出生後のマウスを得られていないため、組織検討が減少したため、薬品の購入量が減少した。また、旅費を使用しなかったため、繰越額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は出生後のマウスも得て、組織検討も前年度分も含めて行うため、それに必要な薬品、実験動物を購入予定である。また、組織学的観察および画像撮影を効率よく行うため最新式のオールインワン蛍光顕微鏡をリリースし、その費用を本研究費より支出予定である。
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