研究課題
ヒトの発生において胎生第8週末までに殆どの主要な器官の概形が形成され(器官形成期)、第9週以降から生後しばらくまで、臓器特異的な細胞分化と構築化による組織形成が続く。この組織形成には個体差が存在する。臓器の組織形成を促進することができれば臓器の予備能を高め、生活習慣病などの疾病発症を予防できると考え、ストレス応答や免疫・代謝・循環調節など多岐にわたり生体に影響するACTHの成長後の疾病発症への影響を検討した。胎生17.5日にJcl/ICRマウス母獣を開腹し、胎仔の背側皮下に下垂体ACTH産生腫瘍細胞株AtT20をガラスピペットにて注入、閉腹後発生を継続させた。出生した仔マウスは皮下にAtT20細胞株が結節を形成して生着し、生後3週齢のACTH血中濃度がControl群の30~50倍のAtT20細胞注入群(ACTH群)の仔マウスを得て、12週齢まで生存させた。得られたマウスの血中ACTH濃度、オープンフィールド試験及び、3週齢から45%高脂肪食を与えたマウスの体重変化、血圧測定の解析を行った。12週齢のACTH群はCushing徴候を示さず、3週齢で高値であったACTH濃度もControl群と同レベルまで低下していた。体重変化について、12週齢まで生存し得たマウスの出生時及び3週齢ではControl群及びACTH群の間に有意差は認められなかった。3週齢から普通食又は高脂肪食を与えたマウスの12週齢の体重はオスのControl群では体重が増加したが、オス・メス共にACTH群では高脂肪食による体重増加は認められなかった。血圧について12週齢のオス・メス共に収縮期・拡張期のいずれも有意差は認められなかった。12週齢でControl群及びACTH群に行ったオープンフィールド試験では、オスACTH群のフィールド中央部の運動量がControl群と比べ有意に低く、不安行動が認められた。
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Congenital Anomalies
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