研究課題
足細胞の高度な突起構造は糸球体濾過バリアの形成に重要な役割を果たしている。この突起構造は発生初期の単純な細胞から形成され、病態時には退縮し扁平な突起に再構築されることが知られている。しかし、足細胞の複雑性や培養下で突起構造が再現されない等の理由から、突起の形成・退縮がどういった形態的プロセスを経て進行するのかは不明なままである。本年度は連続SEM断面観察法(FIB/SEM法)を活用し、主としてネフローゼ症候群モデル(PAN腎症ラット)の傷害足細胞において、突起構造の消失過程をFIB/SEM法により解析した。正常な足細胞では、細胞体と一次突起の下面に細い畝状隆起が形成されている。足突起は畝状隆起の左右から櫛の歯のように左右に伸び出ており、足細胞は畝状隆起と足突起により基底膜と接着する。傷害の初期では、足突起の又の部分に「水掻き」ができるようにして、畝状隆起が拡大し、細胞体と一次突起が広い面積で基底膜と接着するようになる。また、足突起の根元は水掻きの形成により細胞体や一次突起に取り込まれ、短縮することになる。最終的に一次突起は広いシート状の突起に変化し、辺縁に短い不整な足突起を残すのみとなる。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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