雄の性行動には情動を調節する作用がある。しかし、その詳細な分子機構は不明である。本研究では、雄の性行動による情動調節機構を解析した。雄の性行動によって海馬で変化するタンパク質をウエスタンブロット法により解析し、転写因子CREBリン酸化の増加が認められた。CREBリン酸化の増加は、MAPキナーゼ阻害剤の投与により阻害された。また雄の性行動により、CREBによって発現が調節されているタンパク質であるBDNFの発現が増加した。BDNFは、情動や記憶・学習と関連があることが明らかになっている。本研究から、雄の性行動による情動調節には海馬におけるCREB経路の活性化が関与していることが示唆された。
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