本研究ではeEF1BδL欠損マウス(以下δL欠損マウス)で音刺激により誘発されるけいれん発作の分子病態の解明を目的として研究を進めた。その結果δL欠損マウスではてんかん原因遺伝子であるCacna1aなどの発現量が減少していること、また音刺激に対する脳での分子シャペロンの誘導が抑えられること。さらにδL欠損マウスはストレス暴露により脳の萎縮が生じることを突き止めた。分子シャペロンはストレスから細胞を保護するタンパク質である。本研究で得られた成果はeEF1BδLが脳内でストレスに対する防御装置の一端を担うことを示唆する知見であり、ストレスに起因する精神疾患を考える上でも有用な基礎知見となりうる。
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