研究課題
streptozotocin静注SDラットを用いた1型糖尿病モデルに対し,24時間の絶食にて低血糖を誘導し,その後自由摂食により血糖を上昇させ,血糖変動モデルとして解析した.絶食による血糖変動を4日間のうち2回施行した血糖変動ラットと,自由摂食を維持した糖尿病ラットおよび対照非糖尿病ラットによる3群間の比較を行った.同モデルにおいて摘出心灌流実験を行い,糖尿病群に比して血糖変動群でさらに有意に血糖変動群で虚血再灌流障害が増悪することを示した.血糖変動群の心筋ではNADPH oxidaseやthioredoxin-interacting proteinの発現量が増加しており,catalaseやsuper oxide disutaseの活性が低下し,ミトコンドリアのクリステ破壊がより顕著であった.血糖変動群の信金ではmiR200cおよびmiR141がupregulationしており,これが血糖変動による心筋虚血再灌流障害増悪に寄与している可能性が示唆された.これらの結果は2016年のCirculation Journal誌に報告した.また以前から低血糖により不整脈が増加することが報告されており,同様の血糖変動負荷を4週間与えた動物モデルにおいて血糖変動群で有意に洞結節回復時間が延長した.透過型電子顕微鏡による心筋の観察では,血糖変動群において有意に洞結節の構造的変化が認められた.今後は,血糖変動による心筋への代謝性変化や微小循環に与える影響などを中心にさらに研究を進めていきたい.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Circulation Journal
巻: 80 ページ: 186-195
10.1253/circj.CJ-14-1218