• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

β遮断薬にかわる新規不整脈治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K18973
研究機関横浜市立大学

研究代表者

吹田 憲治  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助手 (90569542)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード不整脈 / ベータアドレナリン受容体シグナル / アデニル酸シクラーゼ / 抗ヘルペス剤
研究実績の概要

交感神経βアドレナリン受容体(β-AR)シグナルの過剰な活性化は心房細動(Atrial Fibrillation: AF)や心室性不整脈の重要な原因の一つであると考えられている。交感神経系の過剰亢進を誘因とする不整脈や心不全の治療におけるβ-ARアンタゴニスト(β遮断薬)の有効性は確立されているが、β遮断薬投与による心機能抑制や肺機能抑制などの副作用が問題となる。アデニル酸シクラーゼ(AC)およびcAMP標的分子Epac1はβ-ARシグナル伝達経路の下流で機能する主要な構成因子である。本研究では、心臓型ACサブタイプおよびEpac1の不整脈発症における役割を解明し、その機能制御による不整脈治療の可能性をβ遮断薬と比較検討する。これにより、両分子がβ遮断薬よりも副作用が少ない安全な不整脈治療を確立するための新たな標的として有用であることを明らかにする。
本年度は、マウスに持続時間10分程度のAFを誘発する実験系を開発した成果を論文として発表した(PLOS ONE, 10, e0133664, 2015)。また、本AFモデル実験系およびCalsequestrin 2遺伝子ノックアウト(Casq2KO)マウスを用いた既報の心室性不整脈モデル実験系により、我々が心臓型ACサブタイプの阻害剤として見出したビダラビン(抗ヘルペス剤)の不整脈抑制効果を解析した。また、ビダラビンの心機能への影響を心エコー検査および心臓カテーテル検査により詳細に検討した。
ビダラビンはβ遮断薬の一種であるメトプロロールと同様、マウスに誘発したAFおよび心室性不整脈を抑制した。メトプロロール投与群と異なり、ビダラビン投与群では心機能(心拍数、左室駆出率、dP/dT maxおよびdP/dT min)の低下が認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビダラビンの不整脈抑制効果ならびに心機能への副作用の有無を詳細に解析し、本研究の主要なキーデータを得ることが出来た。すなわち、ビダラビンはβ遮断薬で問題となる心機能低下を起こすことなく心房細動および心室性不整脈を抑制することが明らかとなった。また、心室性不整脈におけるEpac1の役割を解析する目的でCasq2遺伝子とEpac1遺伝子のダブルノックアウトマウス(Casq2KO-Epac1KO)の作製を行なった。当該ダブルノックアウトマウスはC57BL/6バックグラウンドへのコンジェニック化が終了し、実験に用いる準備が整った。
以上のことから、本研究課題は順調に進行していると考える。

今後の研究の推進方策

β-ARシグナル伝達経路の過剰亢進を誘因とする不整脈における心臓型AC5サブタイプ(AC5)とEpac1の重要性を明らかにしていく。具体的には、①C57BL/6野生型マウス、AC5遺伝子ノックアウト(AC5KO)マウスおよびEpac1KOマウスに誘発したAF持続時間②Casq2KOマウスおよびCasq2KO-Epac1KOマウスに誘発した心室性期外収縮をそれぞれ比較検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Norepinephrine-induced adrenergic activation strikingly increased the atrial fibrillation duration through β1- and α1-adrenergic receptor-mediated signaling in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Suita K, Fujita T, Hasegawa N, Cai W, Jin H, Hidaka Y, Prajapati R, Umemura M, Yokoyama U, Sato M, Okumura S, Ishikawa Y
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 10 ページ: e0133664

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0133664. eCollection 2015.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Protective effects of clenbuterol against dexamethasone-induced masseter muscle atrophy and myosin heavy chain transition.2015

    • 著者名/発表者名
      Umeki D, Ohnuki Y, Mototani Y, Shiozawa K, Suita K, Fujita T, Nakamura Y, Saeki Y, Okumura S
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 10 ページ: e0128263

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0128263. eCollection 2015.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 横浜市立大学 循環制御医学講座ホームページ

    • URL

      http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~seiri1/

  • [備考] 鶴見大学 生理学講座ホームページ

    • URL

      http://tsurumi-univ-seiri.jimdo.com/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi