研究課題
本研究では、ゼブラフィッシュを用いて血管新生および安定化した血管で生体カルシウムイメージングを行い、カルシウム上昇を外的刺激の入力の指標とすることで、細胞外刺激とそれに起因する細胞応答の関係性を動的に捉えることを目指している。前年度は、血管新生過程でのカルシウムイメージングを行うことで、VEGF-A/VEGFR2シグナルに応答した細胞内カルシウム振動の検出に成功した。今年度は、血流による機械的刺激に対する内皮細胞応答を可視化する目的で、血流のある血管でのカルシウムイメージングを行った。その結果、血流のある節間血管や背側大動脈などの血管内皮細胞において、細胞内カルシウム振動が起こることを見出した。この細胞内カルシウム振動は、薬剤処理によって心拍を停止させ、血流を止めることで完全に消失し、薬剤除去により血流を再開させると再び観察されたことから、血流に依存して起こることがわかった。さらにこの血流依存的なカルシウム上昇の上昇パターンを解析したところ、VEGF-A/VEGFR2依存的なカルシウム上昇とは異なるパターンで起こることを見出しており、両者が異なるメカニズムで起きていることが明らかになった。また、血流に対する内皮細胞応答の解析から、Hippo pathwayの標的因子であるYAPが血流による機械的刺激により応答することを新たに見出しており、流れによるYAPの応答がアクチン細胞骨格の形成に依存し、血管の安定化に寄与することを明らかにした。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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