研究実績の概要 |
我が国において5人に1人が不眠を訴えている. その一部の不眠症者では主観的睡眠時間と客観的睡眠時間の乖離(ズレ)が著しく, 治療抵抗性であり睡眠医学上の深刻な問題となっている. 本年度は, 達成目標課題の一つである徐波睡眠増加に有効性の高い身体運動量の探索と生理機能評価に関連して, 運動負荷のタイミングの影響を排除し,十分な総運動量の確保が可能な身体運動プロトコルを構築した。その上で,睡眠構造, 生理機能の同時計測を行いながら, 健常者の睡眠徐波増加に有効性の高い身体運動量を検討することを目的とした. 本年度は研究代表者本人の出産により, 止むを得ず研究を一時的に中断していたが、現在再開し進めている。健常者数名を対象にした予備的検討を行ったので記載する. 健常者成人数名を対象とし, 実験参加希望者には医師ならびに医療従事者の監督の下, 実施される研究及び実験内容,予測される危険性など実験に関する十分な説明の後, 書面による同意を得た. 被験者は順応夜に参加後, 基準夜(運動なし), 運動夜の各条件に1週間おきにクロスオーバーで参加した. どの条件においても実験中は生理機能(深部体温ほか)を連続測定し, 1時間毎に主観的評価を行った. 日中又は日中運動後, 翌朝起床後に認知機能評価を行った. 夜間睡眠区間(22~翌8時)において夜間睡眠ポリグラフ及び生理機能評価を, 就床時と起床時に主観的評価を行った. この予備的検討では,運動条件では非運動条件に比べ徐波睡眠量が有意に増加することを確認した.
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