研究実績の概要 |
本研究は身体運動量に着目し、一日複数回にわたり中強度の有酸素運動を実施する身体運動プロトコルを採用し、その後の夜間睡眠構造の変化、就寝前及び睡眠中の深部体温や皮膚温の変化, 睡眠前後の主観的評価を検討したものである。本年度は、昨年度に引き続きさらに実験データの解析を進めるとともに, 学会発表、論文執筆、不眠症者の障害特性を検討した。本研究の実験プロトコルを用いた日中の身体運動により徐波睡眠量SWS(分)、徐波活動量SWA(パワー)が増加したこと, その後の夜間睡眠中の深部体温, DPGが共に非運動条件に比べて有意に高くなったことに加えて、 fast-σ/SWA(13-16Hz)と翌朝の熟眠感が, 運動条件で有意に増加することがわかった. さらに、非運動条件から運動条件への徐波活動の増加はDPGの増加と有意な相関がみられた. 一方、 fast-σ波(13-16Hz)は深部体温と有意な弱相関がみられた. 運動夜におけるDPGの上昇とともに見られた顕著な徐波睡眠の増加は。徐波睡眠が末梢の皮膚血管を通した熱放散を通じで, 体温を低下させるためのプロセスに貢献している可能性を示唆している。 一方, 運動条件夜における深部体温とfast-σ/SWA ratioの間に有意な相関が見られたことから、深部体温の持続した高止まりの状態とfast-σ/SWA ratioの間に関連・連動性がある可能性が考えられる。
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