研究課題/領域番号 |
15K18986
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
Thumkeo Dean 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40372594)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | T細胞 / TCRシグナル / アクチン / mDia / 低分子量G蛋白質 |
研究実績の概要 |
TCRシグナルはT細胞の機能発現に不可欠であるが、そのシグナル伝達機構について不明な点が多い。申請者はこれまで、TCRシグナルにはアクチン重合因子mDiaが促進的に働くことを明らかにしてきた。本研究では、さらにmDia の活性化に関わる因子の同定を行い、TCRシグナル伝達におけるmDia活性化の分子作用機序を解析し、TCRシグナル伝達におけるmDiaの働く仕組みの解明を目的としている。本年度は、主にsiRNAを用いてmDia阻害時のTCRシグナル抑制表現型を示す遺伝子の探索を行った。その結果、TCRシグナル時のmDia活性化に関わる遺伝子としていくつか低分量Gタンパク質Rhoファミリーに属するタンパクが候補として見つかった。さらに、これらタンパクが機能的に重複していることを見いだした。現在は、これら候補の遺伝子が直接にmDiaの活性化に重要であること証明するために、生化学的な実験やレスキュー実験を行う予定である。以上の研究を通じて、TCRシグナルにおける細胞骨格アクチン重合因子mDiaの活性化及び働く分子メカニズムを明らかにしたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究では培養T細胞を用い、siRNAによる阻害実験を行い、mDia阻害時に見られるF-actin及びTCRシグナル阻害表現型を示す遺伝子の探索を行い、「研究実績の概要」で述べたように、いくつ候補の低分子量Gタンパク質を同定することができた。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は候補遺伝子とmDiaの生化学的な結合や機能的レスキュー実験を試み、候補遺伝子とmDiaの関係性を直接に証明したいと考えている。また、TCRシグナルにおけるmDiaと候補活性化遺伝子の働く分子メカニズムをより詳細に検討するために、超解像度顕微鏡を用いた局在解析などを行う予定である。最終的にはこれらの実験で得られた知見に基づき、TCRシグナルにおけるmDiaの活性化分子メカニズムを通じて、TCRシグナルの包括的な理解へとつなげたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
mDiaを活性化する因子の同定に大きな規模のスクリーニングを考えたが、過去の文献などを参考に候補遺伝子を絞り検討を行った結果、計画より早くいくつかの有力候補を見つけることができたため、物品費が次年度使用額が生じたのである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予定している超解像度顕微鏡を用いた実験の関連消耗品は高価なものが多く、生じた次年度使用額の大半をこれに当てたいと考えている。また、平成28年度は本研究の最終年度であるため、研究結果をまとめ、その成果を論文として発表することが今後の発展のためにきわめて重要であると考えており研究成果投稿料として10 万円の財源を確保したい。
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