研究課題
慢性腎臓病(CKD)の病態発症メカニズムや治療法の開発を目指し,長鎖ncRNAであるMALAT1に着目し,検討を行ってきた。これまでの検討から,マウス一側尿管結紮(UUO)モデルや加齢モデルの腎臓において,MALAT1の発現が上昇することを見出した.次に,MALAT1の発現上昇メカニズムやUUOモデルの病態形成におけるMALAT1の関与を評価するため,イオンチャネル型ATP感受性プリン受容体P2X7R に着目した.P2X7R KOマウスにUUO手術を施し解析した結果,P2X7R KOマウスでは有意なMALAT1の発現低下が認められた.MALAT1の発現局在をin situ hybridizationにより評価したが,MALAT1はユビキタスに発現していた.そのため,腎疾患(UUO)時の腎病態形成に関与するMALAT1発現細胞を同定することはできなかった.そこで,MALAT1の発現細胞として,腎線維芽細胞とポドサイトに着目し検討を行った.培養線維芽細胞においては,P2X7RのリガンドであるLL-37によりMALAT1の発現は上昇しなかったが,培養ポドサイトではLL-37添加後1時間において,有意なMALAT1発現の上昇が認められた.また,培養ポドサイトではLL-37添加6時間後において顕著な細胞死が観察され,細胞死関連因子の発現上昇も認められた.よって,MALAT1は,ポドサイトにおいてLL-37/P2X7Rの下流シグナルとして,細胞死に関連する可能性が示唆された.今後は,MALAT1のsiRNAやshRNA発現レンチウイルスを用いた発現抑制系を構築し,その機能を解析する予定である.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
PLoS One.
巻: 12(8) ページ: e0183584
10.1371/journal.pone.0183584. eCollection 2017.
Scientific Reports.
巻: 7(1) ページ: 1407
10.1038/s41598-017-01426-8.