研究課題
GSK3阻害薬の骨再生における促進作用の効果の検討を行った。破骨細胞に対する抑制効果および機序の解明において、GSK3阻害薬の中でSB216763がリチウムやTideglusibと比較して強力な破骨細胞分化抑制効果を認めた。作用機序としては、GSK-3阻害薬はCOX2やmPEGS-1の抑制を介してPGE2の産生を抑制することで、破骨細胞への炎症刺激を抑制することにより、分化を阻害した可能性があることが分かった。骨芽細胞への影響において、GSK3阻害薬のSB216763がリチウムとTideglusibに比較して最も石灰化を促進する結果となった。しかしながら、in vivo 実験においてはSB216763およびTideglusibの骨再生促進効果に関してはリチウムに比べて顕著な差は認めなかった。GSK3阻害薬の全身投与が骨形成促進することは知られているが、腎不全患者において有効かどうかは知られていなかった。アデニン腎症マウスを用いた実験において、塩化リチウムの経口投与が海綿骨量を増加させることが分かった。しかし、炭酸リチウムでは尿崩症をきたすため、他の特異的なGSK3阻害薬の効果の検討および局所投与のドラッグデリバリーシステムの更なる検討が必要である。GSK3を操作することで、骨再生には良い効果をもたらしているが、同時にGSK3は生理活性に重要な役割を担うため、癌化のリスクに関しても懸念しなければならない。同時に、GSK3活性化薬のDifferentiation inducing factor-1が癌の増殖・浸潤を抑制することも明らかにした。創薬開発において、GSK3というリン酸化酵素の多面性を明らかにしていく必要がある。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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