研究課題/領域番号 |
15K18991
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
根本 隆行 宮崎大学, 医学部, 助教 (90506833)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Insulin2 / Proinsulin |
研究実績の概要 |
膵臓より産生されたインスリンは、筋肉組織など他の末梢組織に作用することでグルコース代謝を制御している。またインスリンは、脳組織にも作用し脳内のグルコース代謝や神経細胞の分化に関与していることも広く知られている。このように膵臓で産生されたインスリンは、末梢組織だけでなく中枢神経系にも作用し、生体内で多様な生理作用を発揮している。近年、膵臓由来インスリンの他に脳自体で産生される脳由来インスリンの存在を示唆する研究成果が相次いで報告された。しかし脳由来インスリンの産生細胞およびその生理機能については未だ不明である。本研究は脳由来インスリンの神経生理学機能の網羅的解析を目的とするものである。当該年度は、脳神経細胞におけるインスリンのmRNAおよびインスリン前駆体(Proinsulin)の発現解析を行った。げっ歯類には2つのインスリン遺伝子Ins1およびIns2が発現しており、とりわけ脳にはIns2のみ発現していることが知られている。以上の点をふまえ以下の解析を行った。C57BL/6マウスより脳組織を採取し、Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction (RT-PCR)およびWestern Blotを行い、マウス脳組織レベルでInsulin2のmRNAとProinsulinが発現している結果を得た。次に神経細胞におけるProinsulinの発現を明らかにするために、初代培養神経細胞を用いたProinsulinの発現解析を行った。まずラット脳の初代培養神経細胞を用いてWestern Blotを行い、神経細胞におけるProinsulinの発現を示唆する結果を得た。今後、遺伝子改変マウスの解析にあたり、マウス脳神経細胞におけるInsulin2mRNAおよびProinsulinの発現解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は脳由来インスリンの神経生理学的機能を解析するものであるが、現在は脳内のインスリン産生細胞の探索にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
インスリン分泌にアクチン細胞骨格による制御機構の関与が広く知られている。今後は神経細胞におけるアクチン細胞骨格制御を視野に入れた解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度、解析に使用するC57BL/6の繁殖に予想より長い時間を要したため、その後の解析に要する費用の支出が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
脳内におけるインスリン産生細胞の特定と脳由来インスリンの神経生理学機能解析に全額使用する予定である。
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