研究課題
難治性中枢神経変性疾患における有効な治療薬のターゲットを見出すために、アストロサイトおよびミクログリアとの相互作用を解明することを本研究の目的とした。アストロサイトの異常活性化に伴って産生、分泌が亢進するS100B は、高濃度では神経細胞やミクログリアさらにはアストロサイト自身にも作用して炎症性因子の発現を増加させ、病態悪化に関与している。このS100B に注目し、相互作用においてどのように変化するのかということを調べた。また、ミクログリアについては、マクロファージ/ミクログリアに特異的に発現しているカルシウム結合タンパク質Iba1 や細胞膜に特異的に発現しているCD11bについて調べた。1.アストロサイトおよびミクログリアの単独培養におけるGFAP、Iba1のタンパク質レベルでの経時変化: アストロサイト単独培養時のGFAPの発現は、9日目までは上昇傾向し、以降は減少した。一方、ミクログリア単独培養時のIba1の発現は、5日目までは殆どの細胞で発現がみられた。しかしながら、5日目以降では、半分以下にまで減少した。2.アストロサイトおよびミクログリアの共培養におけるS100B、Iba1、CD11bのmRNAレベルでの経時変化: 共培養時におけるS100Bの発現は、一定ではなかった。一方、ミクログリアにおけるIba1の発現は、アストロサイトと共培養した時の方が発現が上昇し、CD11bでは差はみられなかった。3.活性型ミクログリアによる影響: LPS処理によって活性化したミクログリアとアストロサイトを共培養したところ、アストロサイトにおけるS100Bの発現は一定ではなかった。一方、アストロサイトと共培養した活性型ミクログリアのIba1の発現は変化がみられなかった。CD11bでは、発現が上昇した。
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