本研究では、ストレス応答的に活性化する転写因子Nrf2の一時的な活性化が造血幹細胞を増加させるかどうかを検討した。Nrf2誘導剤であるCDDO-Imをマウスに投与し、造血幹細胞を調べると、Nrf2の活性化は造血幹細胞の増殖を促進させることが分かった。しかし、骨髄移植実験の結果から、この増加した造血幹細胞は分化し易く、幹細胞機能を維持していないと考えられた。一方、Nrf2が活性化した造血幹細胞は、トロンボポエチン(TPO)存在下で培養すると、巨核球様細胞に分化し易いことが分かった。ゆえに、Nrf2活性化はTPOへの感受性を亢進させることで、造血幹細胞の増殖・分化を誘導していると推察される。
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