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2016 年度 実績報告書

転移性乳癌の克服に向けた血管性ニッチの分子機構解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K19001
研究機関筑波大学

研究代表者

本宮 綱記  筑波大学, 医学医療系, 助教 (30628920)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード乳癌転移 / 血管性ニッチ
研究実績の概要

近年、大腸癌や脳腫瘍、皮膚扁平上皮癌などの様々な癌において、血管内皮細胞は癌幹細胞と隣接して存在し、癌幹細胞性の維持に貢献していること明らかとなっている。しかし、癌細胞と血管内皮細胞のクロストークを司る分子メカニズムは殆ど解明されておらず、乳癌の肺転移においては、実際に血管性ニッチが存在するか否かも不明であった。
そこで本研究では最初に、乳癌肺転移における血管性ニッチの存在を、組織学的および細胞生物学的に検討し、肺に転移した乳癌細胞が肺血管内皮細胞と近接して存在すること、また、肺血管内皮細胞は乳癌細胞の癌幹細胞性を亢進することを明らかにした。このことから、肺血管内皮細胞は乳癌細胞の癌幹細胞性を維持することで転移をサポートしていることが示唆された。
乳癌の肺転移における乳癌細胞と肺血管内皮細胞のクロストーク機構は、効果的な薬剤標的となり得る。そこで、マウス乳癌細胞肺転移モデルを用いて、血管内皮細胞と癌細胞の分子的クロストークをトランスクリプトミクスにより検討した。その結果、乳癌細胞が肺転移を果たした後に肺血管内皮細胞で顕著に発現が上昇する遺伝子として、Cthrc1、C1qa、C1qb、Cxcl9、Cxcl10、 およびCxcl13を同定した。これらの分子の癌幹細胞性維持における関与を検討した結果、Cthrc1およびCxcl9は、乳癌細胞の癌幹細胞性を顕著に上昇させることが明らかとなった。
これらのことから、乳癌細胞は肺血管内皮細胞を刺激し、Cthrc1およびCxcl9の発現を上昇させることによって、転移部位での癌幹細胞性を亢進させ、転移巣形成を促進することが強く示唆される。今後はin vivoにおけるこれらの因子の重要性の検討、および、転移性乳癌の治療における薬剤標的としての有用性を示していく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件)

  • [国際共同研究] German Cancer Research Center(Germany)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      German Cancer Research Center
  • [雑誌論文] ACAP3 regulates neurite outgrowth through its GAP activity specific to Arf6 in mouse hippocampal neurons.2016

    • 著者名/発表者名
      *Y. Miura, *T. Hongu, Y. Yamauchi, Y. Funakoshi, N. Katagiri, N. Ohbayashi, Y. Kanaho.
    • 雑誌名

      Biochem. J.

      巻: 473 ページ: 2591-2602

    • DOI

      10.1042/BCJ20160183

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] PKN3 is the major regulator of angiogenesis and tumor metastasis in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      H. Mukai, A. Muramatsu, R. Mashud, K. Kubouchi, S. Tsujimoto, T. Hongu, Y. Kanaho, M. Tsubaki, S. Nishida, G. Shioi, S. Danno, M. Mehruba, R. Satoh, R. Sugiura
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 6 ページ: 18979

    • DOI

      10.1038/srep18979

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Pathological functions of the small GTPase Arf6 in cancer progression: Tumor angiogenesis and metastasis.2016

    • 著者名/発表者名
      T. Hongu, Y. Yamauchi, Y. Funakoshi, N. Katagiri, N. Ohbayashi, Y. Kanaho.
    • 雑誌名

      Small GTPases

      巻: 7 ページ: 47-53

    • DOI

      10.1080/21541248.2016.1154640

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 低分子量Gタンパク質Arf6の個体における多彩な生理機能2016

    • 著者名/発表者名
      本宮綱記、金保安則
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 88 ページ: 78-85

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公開日: 2018-01-16  

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