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2016 年度 実施状況報告書

生体内enChIP法を用いたシチジンデアミナーゼ遺伝子発現調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19005
研究機関岐阜大学

研究代表者

佐藤 克哉  岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60733508)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードAID / 遺伝子発現制御 / 転写因子 / エンハンサー領域 / CRISPR/Cas9
研究実績の概要

Activation induced cytidine deaminase (AID) は、活性化に伴い、Bリンパ球に強く発現し、抗体遺伝子改変に必須の因子である。AID遺伝子 (Aicda) の発現の有無や程度は、細胞系列や周囲からの刺激に連動した複数の転写調節因子により複雑に制御されていると考えられており、AIDの発現異常は癌化に関わることが示唆されている。本研究は、CRISPR/dCas9を用いたenChIP等の手法を活用し、Aicda発現調節領域に結合する転写調節因子―DNA複合体の構造をBリンパ球や、他の様々な細胞において解明することで、Aicdaの発現調節機構を調べることを目的としている。
昨年度までに、転写因子BatfがAIDの発現に必須であり、その結合領域はこれまで示唆されてきた領域以外にも存在することが考えられた。
この為、今年度はまずCRISPR/Cas9を用いて種々のAicda制御領域欠損細胞株を作成し、それぞれの領域のAID発現への寄与を検討した。その結果、これまでBatfが結合すると考えられてきたAicda転写開始点下流17kbの領域以外にも第一イントロン及び転写開始点上流にもAID発現に大きく寄与する領域が複数存在することが示唆された。各種のデータベースやツールを用いた解析も合わせて考慮すると、この内BATFは、転写開始点よりも上流の領域に結合することでAID発現に寄与する可能性が考えられた。現在Flagタグを付加したBatfを用いたクロマチン免疫沈降実験、dCas9を用いたenChIP解析により、この領域のBatfの結合能の評価及び遺伝子座の取り得る構造を解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、Aicda発現に重要なBatf結合領域を特定した上でCRISPR/dCas9を利用したenChIP法による転写因子―DNA複合体の構造解析を行う予定であった。しかしながら、BatfのAicda領域上の結合部位は、DNAの一次構造のみでは容易には決定できず、また、BatfのDNAへの結合とAID発現への寄与が必ずしも一致しないことが分かった。このため、Batfの結合領域の探索に加え、Aicda発現調節領域のそれぞれがAID発現へ与える寄与についても合わせて検討することとなり、想定以上に時間を要した。

今後の研究の推進方策

これまでの研究において推定されたAID発現に影響を与えるBatfのDNA結合領域に着目し、CRISPR/dCas9を用いたenChIP解析を行うことにより、転写因子―DNA複合体の構造解析を解明する。また、これまでの研究において、Batfの発現をノックアウトした細胞を樹立している。この細胞を利用し、転写因子の発現の有無が遺伝子座の取り得る構造にどのように影響を与えるかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

上述したように、本年度はAID発現に重要かつ転写因子Batfが結合し得る領域の特定に想定以上の時間がかかってしまった。この為、当初計画で予定していたvitro及びvivoにおける転写因子―DNA複合体の構造解析が不十分であり、さらに時間をかけて研究する必要があると考えている。生じた繰り越し金額は、予定通りに計画が進んでいれば購入・使用する予定であった、vitroにおける転写因子―DNA複合体の構造解析に用いるenChIP解析試薬の一部、及びマウスの維持費である。

次年度使用額の使用計画

繰越分は、昨年度の実験の遅れに伴い平成29年度に実験を計画しているvitroおよびvivoにおける転写因子―DNA複合体の構造解析の為の試薬(enChIP実験に関連する試薬)を購入する費用及びマウス維持費に充てる。
また、平成29年度は実施最終年度に当たるため、学会発表および論文投稿による研究成果の発表を行う予定である。当初計画に従い、平成29年度の研究費用の一部は英文校正及び論文投稿・掲載料に充当することを予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Heterotrimeric G protein Gαs subunit attenuates PLEKHG2, a Rho family-specific guanine nucleotide exchange factor, by direct interaction2017

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama K, Tago K, Matsushita S, Nishikawa M, Sato K, Muto Y, Nagase T, Ueda H
    • 雑誌名

      Cell Signal

      巻: 32 ページ: 115-123

    • DOI

      10.1016/j.cellsig.2017.01.022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] M2-like macrophage polarization in high lactic acid-producing head and neck cancer2017

    • 著者名/発表者名
      Ohashi T, Aoki M, Tomita H, Akazawa T, Sato K, Kuze B, Mizuta K, Hara A, Nagaoka H, Inoue N, Ito Y
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/cas.13244

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Four-and-a-Half LIM Domains 1 (FHL1) Protein Interacts with the Rho Guanine Nucleotide Exchange Factor PLEKHG2/FLJ00018 and Regulates Cell Morphogenesis2016

    • 著者名/発表者名
      Sato K, Kimura M, Sugiyama K, Nishikawa M, Okano Y, Nagaoka H, Nagase T, Kitade Y, Ueda H
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 291 ページ: 25227-25238

    • DOI

      10.1074/jbc.M116.759571

    • 査読あり
  • [学会発表] 三量体G蛋白質によるRho活性化因子PLEKHG1の活性制御2016

    • 著者名/発表者名
      西川将司、杉山和恵、佐藤克哉、山川央、長瀬隆弘、上田浩
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 三量体G蛋白質によるRho活性化因子PLEKHG1の活性制御2016

    • 著者名/発表者名
      西川将司、杉山和恵、佐藤克哉、長瀬隆弘、上田浩
    • 学会等名
      日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2016
    • 発表場所
      長良川国際会議場・岐阜都ホテル
    • 年月日
      2016-10-30 – 2016-10-30
  • [学会発表] Rho活性化因子PLEKHG2のFour and a half LIMドメイン含有蛋白質との相互作用による活性制御2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤克哉、木村正志、杉山和恵、岡野幸雄、長岡仁、長瀬隆弘、北出幸夫、上田浩
    • 学会等名
      第80回日本生化学会中部支部例会・シンポジウム
    • 発表場所
      三重大学
    • 年月日
      2016-05-21 – 2016-05-21

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公開日: 2018-01-16  

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