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2015 年度 実施状況報告書

細胞内代謝に基づいた骨格筋幹細胞制御機構およびその移植能を向上させる因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19018
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 尚基  東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD) (50746534)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード骨格筋幹細胞
研究実績の概要

骨格筋の幹細胞である筋衛星細胞は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー等の重篤な進行性筋ジストロフィー患者の失われた骨格筋組織を再生させ、筋収縮力を回復させる再生医療に有望な移植元と考えられている。しかし、筋衛星細胞は機能的に不均一な集団であり、細胞移植後に生着するのは、筋衛星細胞のごく一部の集団だけである。申請者は、細胞内の代謝酵素に注目することで、不均一な筋衛星細胞からその一部の真の幹細胞を単離/同定する手法を確立している。本研究は真の幹細胞の分子的な背景を元に、筋衛星細胞の移植能を向上させる分子を同定・解析することで、筋ジストロフィーに対する細胞移植治療の発展を目指す。
平成27年度は、申請者が得ているより未分化な筋衛星細胞に対する網羅的遺伝子発現解析のデータベースを元に、筋衛星細胞の細胞移植元としての機能を向上させる候補分子を同定することを目的とした。その結果、申請者はLeukemia inhibitory factor(LIF)受容体が未分化な筋衛星細胞に高発現していることに注目した。筋衛星細胞をLIF処理し、その未分化性維持機能をin vivoにおいて解析した。免疫不全であるNOD-Scidマウス、もしくはデュシェンヌ筋ジストロフィーの原因遺伝子であり、ジストロフィンを欠損しているmdxマウスをレシピエントとし、GFPマウスより分離した筋衛星細胞を移植した結果、LIF処理により、より多くのGFP陽性筋線維およびジストロフィン陽性筋線維を形成することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者はLeukemia inhibitory factor(LIF)が筋衛星細胞の移植能を向上させることをin vivoにおいて明らかにした。またその研究成果を原著論文として投稿中である。In vivoにおける解析は平成28年に行う予定の解析であり、当初の計画以上に遂行された。しかし、LIF以外の分子の同定には至らなかったため、全体を通しておおむね順調にに進展していると言える。

今後の研究の推進方策

次年度は、LIF以外の筋衛星細胞の移植能を向上させる因子を同定する。具体的には、候補となる成長因子を添加することにより、未分化性マーカーであるPax7や分化マーカーであるMyogeninの発現、増殖能や筋管形成能を解析する。またその受容体をsiRNA等でgene knockdownすることにより、gain of functionとloss of functionの両面から解析を行う。候補成長因子の機能をin vivoで明らかにするため、免疫不全であるNOD-Scidマウス、もしくはデュシェンヌ筋ジストロフィーの原因遺伝子であり、ジストロフィンを欠損しているmdxマウスをレシピエントとし、GFPマウスより分離した筋衛星細胞を移植する。NOD-Scidマウスにおいては、移植細胞が構成したGFP陽性筋線維数の評価を行う。また移植筋から再度、FACSにてGFP陽性筋衛星細胞を単離し、その筋形成能をin vitroもしくはin vivoでの再移植により評価する。mdxマウスにおいては、移植細胞が再構成したジストロフィン陽性筋線維による筋再生力を評価する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画および研究実施状況などに遅延はないが、少額の次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度は、LIF以外の筋衛星細胞の移植能を向上させる因子を同定する予定であり、引き続き、本研究費用に充当する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ground-based assessment of JAXA mouse habitat cage unit by mouse phenotypic studies.2016

    • 著者名/発表者名
      Shimbo M, 他37名, Ito N, Takeda S, Takahashi S.
    • 雑誌名

      Experimental Animals.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A muscle-liver-fat signalling axis is essential for central control of adaptive adipose remodeling.2015

    • 著者名/発表者名
      Noriaki Shimizu, Takako Maruyama, Noritada Yoshikawa, Ryo Matsumiya, Yanxia Ma, Naoki Ito, Yuki Tasaka, Akiko Kuribara-Souta, Keishi Miyata, Yuichi Oike, Stefan Berger, Gunther Schutz, Shin’ichi Takeda, Hirotoshi Tanaka.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: Article 6693

    • DOI

      doi: 10.1038/ncomms7693

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] G-CSF supports long-term muscle regeneration in mouse models of muscular dystrophy2015

    • 著者名/発表者名
      Nozomi Hayashiji, Shinsuke Yuasa, Yuko Miyagoe-Suzuki, Mie Hara, Naoki Ito, Hisayuki Hashimoto, Dai Kusumoto, Tomohisa Seki, Shugo Tohyama, Masaki Kodaira, Akira Kunitomi, Shin Kashimura, Makoto Takei, Yuki Saito, Shinichiro Okata, Toru Egashira, Jin Endo, Toshikuni Sasaoka, Shin’ichi Takeda, Keiichi Fukuda.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: Article 6745

    • DOI

      doi: 10.1038/ncomms7745

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Muscle Satellite Cell Protein Teneurin-4 Regulates Differentiation during Muscle Regeneration.2015

    • 著者名/発表者名
      Ishii Kana, Nobuharu Suzuki, Yo Mabuchi, Naoki Ito, So-ichiro Fukada, Hideyuki Okano, Shin’ichi Takeda, Chihiro Akazawa.
    • 雑誌名

      Stem Cells.

      巻: 33 ページ: 3017-3027

    • DOI

      doi: 10.1002/stem.2058

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨格筋量調節機構に肥満が及ぼす影響の解析2016

    • 著者名/発表者名
      清水宣明、伊藤尚基、武田伸一、田中廣壽
    • 学会等名
      東京大学医科学研究所-千葉大学真菌医学研究センター 共同利用・共同研究所点事業 平成27年度成果報告会
    • 発表場所
      東京大学医科学研究所(東京都・港区)
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-15
  • [学会発表] Adaptive Adipose Remodeling via Muscle-Liver-Fat Signaling Axis2016

    • 著者名/発表者名
      Shimizu N, Tasaka Y, Ito N, Yoshikawa N, Tanaka H
    • 学会等名
      Keystone Symposia 2016 "Metabolism, Transcription and Disease"
    • 発表場所
      Snowbird, Utah (アメリカ合衆国)
    • 年月日
      2016-01-13 – 2016-01-13
    • 国際学会
  • [学会発表] 負荷依存的な細胞内Ca2+濃度の上昇およびmTORの活性化が筋肥大を促進する2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤 尚基、清水 宣明、田中 廣壽、武田 伸一
    • 学会等名
      第29回宇宙生物科学会大会
    • 発表場所
      帝京大学(東京都・板橋区)
    • 年月日
      2015-09-28 – 2015-09-28
    • 招待講演
  • [学会発表] リウマチ膠原病患者におけるステロイド誘発性筋萎縮の定量的解析2015

    • 著者名/発表者名
      吉川賢忠、細野治、上原昌晃、小田彩、小林弘、松宮遼、松原絵里佳、清水宣明、栗原明子、丸山崇子、田坂有希、馬場洋行、伊藤尚基、村上努夢、桐生茂、田中廣壽
    • 学会等名
      第1回日本筋学会学術集会
    • 発表場所
      国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(東京都・小平市)
    • 年月日
      2015-08-08 – 2015-08-08
  • [学会発表] エネルギー代謝制御における骨格筋-肝臓-脂肪組織間シグナル2015

    • 著者名/発表者名
      清水宣明、円山崇子、栗原明子、田坂有希、伊藤尚基、吉川賢忠、田中廣壽
    • 学会等名
      第1回日本筋学会学術集会
    • 発表場所
      国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(東京都・小平市)
    • 年月日
      2015-08-08 – 2015-08-08
  • [学会発表] Ca2+シグナルによって誘起されるmTORの活性化が筋肥大を促進する2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤 尚基、清水 宣明、田中 廣壽、武田 伸一
    • 学会等名
      第33回日本骨代謝学会学術集会 あり方委員会企画シンポジウム 筋・腱・靱帯シンポジウム
    • 発表場所
      新宿京王プラザホテル(東京都・新宿区)
    • 年月日
      2015-07-25 – 2015-07-25
    • 招待講演
  • [備考] アレルギー免疫科・免疫病治療学分野 | 東京大学 医科学研究所 附属病院

    • URL

      http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/rheumatol/allergy/

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公開日: 2017-01-06  

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