研究課題
骨格筋の幹細胞である筋衛星細胞は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーをはじめとした重篤な進行性筋ジストロフィー患者の失われた骨格筋組織を再生させ、筋収縮力を回復させる再生医療に有望な移植元と考えられている。しかし、筋衛星細胞は機能的に不均一な集団であり、細胞移植後に生着するのは、筋衛星細胞のごく一部の集団だけである。申請者は、細胞内の代謝酵素に注目することで、不均一な筋衛星細胞からその一部の真の幹細胞を単離/同定する手法を確立している。本研究は真の骨格筋幹細胞の分子的な背景を元に、筋衛星細胞の移植能を向上させる分子を同定・解析することで、筋ジストロフィーに対する細胞移植治療の発展を目指す。平成27年度にLeukemia inhibitory factor (LIF)による移植能向上作用をin vitroおよびin vivoにおいて明らかにした。平成28年度は、LIF以外の筋衛星細胞の移植能を向上させる因子の同定を目的とした。申請者が得ている、より未分化な筋衛星細胞に対する網羅的遺伝子発現解析のデータベースを元に、候補となるいくつかの成長因子を同定・添加し、未分化性マーカーであるPax7や分化マーカーであるMyogeninの発現、増殖能や筋管形成能を解析した。今後、候補となる因子の受容体の発現解析、また免疫不全であるNOD-Scidマウス、もしくはデュシェンヌ筋ジストロフィーの原因遺伝子であり、ジストロフィンを欠損しているmdxマウスをレシピエントとしたin vivoにおける移植能の解析を行うことで、候補因子の解析を解析する必要があるだろう。
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