ERK経路は細胞増殖、分化、発癌制御など各種細胞機能を担うシグナル伝達経路である。最近、孤発性癌および先天性Ras/MAPK症候群の遺伝学的解析から、ERK経路のMAPKKであるMEKの遺伝子変異が多数同定された。申請者は、これらMEK遺伝子変異により異常ERK活性が生じることで、機能未知の新規蛋白質(約10 kDa)およびncRNA(lncRNA)が発現誘導されることを見出した。これらの分子は高ERK活性を示す様々な癌細胞で観察され、かつ実際の臨床検体サンプルを用いた解析においても強い発現が確認された。また、これらの遺伝子発現は細胞増殖や運動能など細胞機能制御に重要であることも示された。
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