研究課題
研究期間全体を通じて、C型肝炎ウイルスのライフサイクルにおけるチロシンキナーゼc-Ablの重要性を見出した。また、ウイルスタンパク質NS5Aのチロシンリン酸化部位を同定した。さらに、最終年度はinterferon (IFN)-alphaとIFN-lambdaのシグナル伝達の違いを明らかにした。IFN-alphaとIFN-lambdaは異なる受容体と結合するIFNであるが、JAK-STAT経路を介して似たような遺伝子群(ISG)の発現を誘導する。IFN-alphaとIFN-lambdaのシグナル伝達の違いはほとんど知られていなかった。本研究では、CRISPR/Cas9システムを用いて、IFN-alphaとIFN-lambdaの抗C型肝炎ウイルス作用における、STAT1とSTAT2の役割を調べた。IFN-alphaはSTAT1ノックアウト細胞において、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制できるのに対し、STAT2ノックアウト細胞では抑制できなかった。これに対し、IFN-lambdaはSTAT1ノックアウト細胞とSTAT2ノックアウト細胞のどちらにおいても、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制できなかった。また、マイクロアレイを用いた解析により、IFN-alphaはSTAT1ノックアウト細胞においても、ほぼ全てのISGの発現を誘導できることがわかった。これらの結果は、IFN-alphaとIFN-lambdaはSTAT1に対する依存性において異なることを示唆している。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 38336
10.1038/srep38336