研究課題/領域番号 |
15K19024
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
茂谷 康 徳島大学, 先端酵素学研究所(オープンイノベ), 助教 (70609049)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 免疫学 |
研究実績の概要 |
本研究では、自己のDNAが細胞質内に蓄積することによって生成される環状ジヌクレオチドcyclic GMP-AMP(cGAMP)に着目し、その産生および炎症誘導の分子メカニズムを解明することを目的としている。cGAMPの産生機構については、昨年度に見出したcGAMP合成酵素であるcGASの生理的・病理的重要性を明らかにするため、ノックアウトマウスを作製した。そして、自己のDNAが異常蓄積して炎症性貧血を発症するDNaseII遺伝子欠損マウスにおいて、cGASを欠損させると貧血が改善されることを示した。また、cGAMPによる炎症誘導機構を解明するため、下流のTBK1キナーゼ基質の網羅的同定を試みた。昨年度はIMACと2D-DIGEを組み合わせたリン酸化プロテオーム解析を行ったが、真のTBK1基質を見出すことができなかった。そこで、TMT (tandem mass tags) 標識とLC-MS/MSショットガン解析を組み合わせた定量性・網羅性の高い新たなリン酸化プロテオミクス法を構築・実施した。その結果、cGAMP刺激依存的にリン酸化が著しく亢進する新規TBK1基質としてオートファジー関連因子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
cGAMP依存的に活性化されるTBK1の標的基質を同定するために想定以上の時間を費やしてしまった。当初計画していた実験手法を改善することで、ようやく有望な基質を発見したところである。現在までにTBK1によって直接リン酸化されることは確認したが、その分子機能の解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
TBK1基質として同定したオートファジー関連因子がリン酸化される意義を調べるため、野生型またはリン酸化部位に変異を入れたリコンビナントタンパク質を作製し、どのようなタンパク質と相互作用が変化するのかを調べる。また、ノックアウト細胞やノックアウトマウスを作製し、TBK1依存的な炎症反応にどのようにかかわっているかを確かめる。ノックアウトマウスについては、炎症性貧血や関節炎を発症するDNase II欠損マウスと交配する。
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次年度使用額が生じた理由 |
TBK1基質の同定実験に時間がかかってしまい、予定していた分子機能や生理的役割の解析を研究期間内に行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。研究期間を延長し、未使用額を使用してそれらを解析する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
リコンビナントタンパク質の作製およびそれを用いたタンパク質相互作用解析、ノックアウト細胞やノックアウトマウスの作製・解析費用にあてる。また、それらの実験のサポートを行ってもらう技術補佐員の雇用費にも使用する。
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