研究課題/領域番号 |
15K19025
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高島 康郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (50621083)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障害肝モデルマウス / 細胆管反応 / 3Dイメージ / ヒト肝細胞癌 / 遠隔転移 / 肝前駆細胞 / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
肝臓の慢性疾患や癌などにおいて、従来の2D画像の観察を主体とした解析では癌細胞の3D分布や空間的な腫瘍構造を詳細に知ることが難しい。そこで本研究では、研究代表者らが確立した高解像度デジタル3D再構築法により、肝障害時の細胆管反応や胆管癌の形態形成過程を立体的にとらえ、そこから得られる情報を定量的に解析することにより、病理診断や基礎医学研究への応用に向けた基盤技術の構築を目指す。 肝障害時における細胆管反応の3D構造を調べるため、障害肝モデルマウスを作製し、肝内門脈周辺の微小空間における胆管上皮細胞マーカーCK19の3Dイメージを構築し、これを全方位から観察して細胆管反応の空間構造を解析した。また、レトロウイルスを用いてヒト肝細胞癌細胞株をEGFPで標識し、これを免疫不全マウスの尾静脈内に移植して肝臓に遠隔転移巣を形成させた。肝内門脈周囲において認められたヒト肝細胞癌細胞集団(EGFP陽性)の面積および門脈からの距離を測定し、転移後の浸潤および増殖を調べた。 また、胎仔マウスの肝臓から肝前駆細胞を抽出し、幹細胞能を維持するための分子機構を調べた。肝前駆細胞ではLin28b(幹細胞マーカー)がマイクロRNA遺伝子であるmiR-125a/bとlet-7bを抑制することで、Lin28b自身の遺伝子発現の維持と肝前駆細胞の自己増殖を制御し、また、肝前駆細胞から胆管上皮細胞への分化を抑制していることがわかった(Takashima et al., Hepatology. in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に計画した「障害肝モデルマウスにおける細胆管反応の3D解析」はおおむね研究計画通りに行われた。また、「ヒト胆管癌細胞株移植による胆管癌形成過程の3D定量解析」については、ヒト胆管癌細胞株からヒト肝細胞癌細胞株に変更して遠隔転移能の2D解析を行っており、これを3D解析に発展させていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究計画に沿って研究を推進する。このうち、「腫瘍間質形成と血管新生の空間構造の3D解析」の進捗状況によっては、平成27年度の研究計画である「障害肝モデルマウスにおける細胆管反応の3D解析」を分子生物学・細胞生物学的あるいは数理科学的に行う可能性がある。
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