研究課題/領域番号 |
15K19030
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
牧山 智彦 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60733102)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | Taxilin / 炎症性メディエーター / マクロファージ / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
炎症性疾患の病因の一つとして、マクロファージを含む炎症性細胞の細胞間ネットワークの破綻が挙げられる。この細胞間ネットワークは、炎症性メディエーターを介して形成されており、この放出機構を解明することが炎症性疾患の病態の解明に繋がる。本研究では、炎症性反応との関わりが報告され始めた小胞輸送関連分子のTaxilinに焦点を絞り、炎症性メディエーター放出におけるTaxilinの役割を明らかにし、炎症性疾患の病態と細胞内小胞輸送の関連性を解明することを目的としている。 今年度はヒト単球様細胞株であるTHP-1細胞のマクロファージ細胞への分化過程及び炎症性反応に対するTaxilinの挙動を観察した。THP-1細胞をホルボールエステルで刺激することでマクロファージへの分化誘導をかけ、分化刺激3日目まで1日毎に細胞からmRNAを抽出してqPCRを行った。その結果、α-Taxilin及びγ-TaxilinのmRNA量は経時的に減少していたが、分化マーカーであるCD11bやCD14のmRNA量は上昇していた。そこで、タンパク量をウェスタンブロッティングにて観察したところ、それぞれのTaxilinはmRNA量と相関してタンパク発現量が減少していたことから、Taxilinファミリーはマクロファージへの分化過程で転写レベルの調節により発現量が減少することが示唆された。一方、THP-1由来細胞マクロファージ細胞をLipopolysaccharideで刺激した際、γ-TaxilinのmRNA量が上昇し、タンパク量も同様に上昇することが判明した。 また、炎症性細胞間ネットワークにおけるTaxilinの機能解析を目的に、相互作用分子の探索をYeast two hybrid法により探索しているが、想像以上に相互作用する因子が多く、解析がまだ終了していない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はマクロファージ分化過程におけるTaxilinの挙動、並びに炎症性反応におけるTaxilinの動態の解析を行い、炎症性反応におけるTaxilinの機能解析の足掛かりとなる研究成果を得ることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
1) 平成27年度に着手したYeast Two hybridの解析がまだ終了していないため、結合分子の解析を継続して行う。2) THP-1の分化過程においてTaxilinファミリーのmRNA発現量に変化があることを27年度に確認したが、遺伝子を過剰発現及び発現抑制することによる分化への影響を継続して観察する。3) 分化後のTHP-1細胞にLPS刺激を行うと、炎症性メディエーターと同様にTaxilinのmRNA量も変化することが27年度に確認出来た。28年度では、Taxilinを過剰発現及び発現抑制した際の炎症性メディエーター産生上昇に与える影響を観察する。4) 炎症性疾患モデルマウスとして疾患解析のデータが多く存在する炎症性腸疾患モデルであるDSS誘発型大腸炎モデルを対象に、Taxilinの動態及び局在をα-Taxilinノックアウトマウスを用いながら解析する。
|